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『お前の家って居心地いいね。』




休日のお父さんよろしく、露伴の家のふかふかソファーでぐうたらと横になるおれ。

金持ちはやっぱり違いますわ。ソファのランクが違いますわ。(ホテルのソファやベッドも無論ふっかふかのふかなのだが、承太郎さんに怠惰まっしぐらなおれを見せる訳にはいかない)




どうせここにきた理由は睡眠を貪ることだけだしシャワーを浴びてから出てきたので準備は万端むしろもっと遅く…布団に入る前くらいを目指して来たらよかった。

無駄にコイツと過ごす時間が増えて、愛しの承太郎さんとの時間が減ってしまった。
こうなれば逆恨みも辞さないッ!!!





『なーセンセー、男とチョメチョメしたことある?』





こうしてメンタルをストレートでぶち殴ってやるのが有効であることを先日学習したおれだよ。

したことある??とか言っておれは正直お前のこと童貞だと思ってるけどねェ!!
いやでも、リアリティ追求ガチ勢のコイツのことだ。ある程度の事象は全て自ら進んで経験しているってえ可能性も…!




「ソファに横たわってその発言をする意図はなんだ。まさかこの僕を誘ってるのか?」

『おう黄泉にな。』




特大カウンターパンチ。

毎回おれがちょっとお前に気がある前提でレスポンスしてくれるけどおれは全力で承太郎一筋だしバンダナペアルックするくらいなら自害するよ覚えておいて。






「ところでキミ、こんな時間に何しにきたんだ?」
『は?』

「不測の事態でも起きたのかと思えば、そんな風でもない… まるで約束は今日だった、みたいな顔だ。」




えっなにまた知らぬ間に時間巻き戻ってる??

ん?? ンンン????




『おああぁあぁ!!!!!!!おっ…おああ!!?!!?!』

「そうか。馬鹿なんだなキミは。
いや、分かっていたけどね…再認識したよ。」





今朝、承太郎とおれのディスティニーアベックが立証されたから次は露伴で確定だイェーイって気持ちになってた……!

そういえばそうだこの人帰ったの今朝だ。

違う弁解させてくれバカとかじゃないんだよおれは。元の世界で時間巻き戻ったからすっかり一日経ったような感覚だったんだよ体感的には経ってたんだよぉ!!





『今朝帰れたからなんかもう次はお前だって気持ちだった。』




そうしてありのままを伝えると、殺人予告のような言い回しだなと口にしたきり黙り込んで考える風なバンダナ小僧。

なんだなんだ何を悩む青年。もしかして今夜彼女が泊まりに来る予定でもあったか?
だとしたら死んでも帰らないけどねおれは。





「今夜は人が来るんだ。」
『ぜったいに帰らないよおれ。』




1ミリも当たるなんて思ってなかった予想が的中して思わぬメンタルダメージですこれは。

キープのくせにアタイを差し置いて恋人とイチャつこうなんていい根性してるじゃないツラ見せなさいよぉ!!!どーーせ面食いだろどんな可愛い彼女だよオラァ!!






「居てくれて構わないぜ、キミも面識のある人物だしな。」




えっ

まってうそまってぇ………


おれこの世界に来てから女のコとは一切お話できてないけど、つまりそういうこと? 仗助or億安??(康一クンは記憶を消してしまったので除外)

いやだ……お前たちがそんなことになってるの見たくない… 帰りたいよぉ……!
お前もいままでおれと承太郎さんのこと、こんな気持ちで見てたの…? ゴメンねえ……控えないけどゴメンねえ……!!!





そしておれの儚い願いは届かず、無情にもタイムリーに鳴り響くインターホン。






『出ないでェ!!!帰るからァ!!!!!』

「そうかい。だが断る。」




テメエエエエバンダナアアアアアア!!!!


“だが断る”を面と向かって(こっち見てなかったけど)言い放たれた喜びを感じる余裕など皆無。露伴はおもむろに腰を上げ、急ぐでもなく己のペースで玄関へと歩を進めていく。

そして、おもむろついでに玄関扉を開けた。







『うわっ…』
「ゲッ…」



咄嗟に露伴の背中を追ったおれは、扉を開けた彼が道を開けるようにして壁際に移動したためにバッチリとご対面。

ゲッとはなんだゲッとは!!!
(歯切れのいいゲッツだと考えたら愉快になってきたので今回は許す)






『こ、こんばんは… 今朝ぶり?』
「ッスね…… なんでいんですか。」



『打ち合わせ…?』

「編集者かアンタは。」




無気力ながらもキレのあるツッコミをありがとう。ジョースターは比較的ツッコミ体質なとこあるよね。(ジョセフさんは例外)



現れたのはリーゼント助。

じゃあなんだ。街中でお前たちに遭遇したアレは実験でもなんでもなくただのデートだったってのか?
ふたり仲良く鴨肉ディナーしてるとこにおれたちを投入しようなんて一体何を目論んでいたんだ。心底行かなくて良かった。






「上がれよ。話を聞こうじゃないか」




おれの話もやたらと親身に聞いてくれるこの岸辺露伴という男はなんなのか。二丁目のママより聞き上手だな。

踵を返して居間に向かわんとする彼を呼び止めたのは他でもない。




「あーーいや…出直すぜ。邪魔しちゃ〜悪ィしよぉ」



明から様におれがいるからって態度だ。
招かれざる客はむしろコチラな訳で、そもそもおれは帰るつもりだった訳で、ここで仗助にお引き取りいただく理由は何もない。





『承太郎さんと寝てたときはそんなこと言わなかったよね?!おれがいると出来ない話なら、むしろおれが出直すけど。』

「…………。」

『えっなにめっっちゃ怒ってる何かマズいこと言った?あっ露伴の家に二人きりだったからだ?!違うよ誤解だよおれはこの人のこと』
「やかましいっスよ。」




わあ……黙って怒りを露わにしてやかましいと言い放つとこまで承太郎とキレ方が同じだ…さすが血の繋がりがあるだけある。


ところで何故キレる若人よ。

理由は聞かねえ現場を見てんだコッチはってことか?? ドラマとか見てても思うけど理由は聞けよ言い分があるんだよッ!!!







「アンタあの日、おれにスタンド能力使いましたよねェー?」

『ひぇ……』




そちらに関しては一切言い分はない。

スタンドが勝手に暴走したなんて言っても、旧型(ブリスル曰く)のキミたちからしたらもっと上手い言い訳考えろよって感じだろうし、何も言えない。ごめんなさい。






「おいおい待てよ。キミ、スタンド使いだったのか?」
『拗れるから話しかけないで。』
「だったら、元の世界とやらを行き来してるのもスタンドの影響…ってことか。」



「元の世界……って、なんだよ?」

『ホラァ!拗れたァ!!!』




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