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1O







「やぁ。」



(^-^)ノ

じゃねーよテメェ昼っぱらから爽やかボーイ略して爽…やっぱりいいや。…ぶってんじゃねえぞ!!





『何のご用ですか。』

「家に来ないか?」
『来ないです。』




俺はいま一人でお留守番をしていた。イイコに一人でぷよ○よをしていた。

のに、このバンダナ小僧こと岸辺露伴がわざわざホテルまで出向き、俺をお家に招待しますと。





「参ったな。僕がキミに何かしたか?」

『いや何もしてないからですよ…友達でもないんすから、ホイホイついていかないです。』





何かした?だと。
どの口がほざくんだ!二人きりになってすぐヘブンズドアー使おうとしただろッ!!アァン?!

バンダナのギザギザ人知れず増やすぞ!紫のティーバック履いてそうな顔しやがッ…いいや、言い過ぎだな止めておこう。






「僕の名は岸辺露伴、漫画家だ。さ、これで友達だろ?行こうぜ」

『オカシイオカシイ。』


「何だよ、僕が友達になりたいって言ってるんだぜ。それじゃダメなのか?」

『なにそれ素直でカワイイ。
でも俺ここで留守番するって承太郎さんに言ったから無理、残念。』




お前にだけは近寄らないッ!
仲良くしたくない訳じゃないんだ歳だって一番近いし。でも、状況が状況なんだ!

二人っきりはイクナイ。俺はカミングアウトした承太郎にさえ、漫画として皆の過去を読んだとは言ってないし、言うつもりもないからだ。






多少不躾かしらなんて思いながらも、笑顔で『じゃあまた』と扉を閉めた。

否、閉めようとした。
だが彼の足が挟められてそれが叶わずにいる。





「話がしたいんだ。中に入れてくれないか」




俺けっこう勢いつけて閉めたけど大丈夫か、あんよは。

でもな、岸辺露伴よ。
俺も男だから一度心に決めた事は貫き通すべきじゃないかと思ってな岸辺露伴よ!

だからごめんな!!







「なッ、何だよ!キミ僕より年下だろ!?少し失礼なんじゃあないのかッ」

『ふざけんな同い年だ!早く足退けよクソッ』




扉に挟まった露伴の足を気持ち程度のしょっぼい力で何度も蹴る、蹴る蹴る蹴る。
要するに引っ込めろと示唆してるんだが、伝わる様子がない。

「やっと本性を現したか!」
そう一人で盛り上がってる様が無性に腹立たしかったので、今度はシュートを決める心持ちで足を蹴り飛ばした。





バタン!

ガチャリガチャリ





『はぁ―――…』



こんだけ頑なに拒んだんじゃ肯定してるようなモンじゃないか俺。

ソファに腰掛けDSを持ち直してもゲームを再開する気持ちになれず、二度目の溜め息を吐き出して電源を落とした。











‥‥静かだな。

扉を閉められたんだからドンドンギャンギャンとかするんじゃないの普通。なんなの潔いのツマランじゃない。




そう思って扉に振り向くと、気付くのが遅いぜ!みたいなドヤ顔。驚いてやんの!みたいなドヤ顔。

えッ…




『えッ、えッ、ハァ?!俺ちゃんと鍵かけたよね意味わか…お前それ何だ。』





彼が見せ付けんばかりに指に引っ掻けて鍵をブラブラさせていた。

ごめんなさいネー、せっかく親切に気付いて気付いてしてたのに動揺して解んなかったプークスクス





「フロントで借りてきたんだよ。キミが素直に中に入れてくれるとは思えなかったからな」




お前スタンド悪用しすぎだろ!
どうせフロントのお姉さんに何か書き込んだに決まってる、そうでなきゃキーなんて貸す訳がない。

どうりで鍵掛けたとき音が二回鳴ったよ…






『もー…何、用件。』



カッカするのは嫌いだ!
だけどここでへらへらは違うかなと思って俺は今精一杯、顔を引き締めて彼を睨んでいる!!

気付かずにいる間に使われなかったんだから、今更ヘブンズドアー!とか言われる事もない…ハズ。






「キミに能力を使いたい。」

『なんで許可なんて取るの!イイデスヨとか言うと思うの馬鹿なのッ?!』




「認めるんだな。
キミは僕の能力を知っている…年齢まで知ってたんだ、今更シラを切るつもりはないだろう?」

『有名人だもの、知ってる知ってる。でもファンじゃないから要求は飲まん!!』

「そう思って提案がある。」




オイしつけえぞ…

無理矢理じゃないのは人間として大変立派だが(岸辺露伴としては俺のイメージに反するが)妥協案もくそもあるかッ!

ちょっとだけェ〜ンてか!?
ビキニ着て出直せッ!いやそれはやっぱり待て!






「キミの口から話せよ。」


『…それ優しさなの。ヤだよ同じじゃん』

「嘘を吐けばいいだろ!!」
『それでいいのか岸辺露伴…
嘘でいいなら俺の出生から性癖まで余さず話すよ。』

「いや、それは必要ない。」
『テメェ。』




調子の狂う彼の態度にガシガシと頭を掻いてから、まぁ座れよと俺の腰掛ける長いソファーの隣を軽く叩いた。

飲み物でも出したいトコロだが、承太郎のだから勝手に飲めないのよね。飲んだからって怒りもしないだろうけども。





『よし、話そうか俺の壮大な生い立ちを!』

「キミは未来から来たのか。」

『質問を受け答えるカタチなの…え、何いきなりファンタジー。漫画家きょわい』




きょわいが定着してきてきょえーよ。当たり前のようにぽぽぽぽ〜んと出てきたよ。

平然を装ってるが俺は相当ビビっている焦っている狂っている!いや狂ってない混乱しているというニュアンスをお伝えしたかった!
おちけつ俺…ッ!!






「この携帯ゲーム機には見覚えがない。それにこのケース、2018の文字がある…
ならばキミは20年近く未来きた人間、という事だ。」




何を、おま、何を。

何をそんな素直に未来から来たのかとかマジで大丈夫か。
俺は目の前の人間はもしかしたら未来から来たのかもしれないとかエベレストが噴火しても考えらんねえよ。





「ふつうの難易度でプレイしてるのか?…大した腕前じゃないな。」
『お前をばたんきゅ〜させてやろうか。返せ。』




ひょいとゲーム機を取り上げると少し不満そうな顔。

無視してまた電源を落とすと、今度はちゃんとケースにしまい込んだ。





『…承太郎さんには言ってある。仗助にはバレてないしその予定もないから、黙ってて』

「僕と暮らせよ。」
『聞けよ。
いやむしろ幻聴が聞こえた気がした。』




逸らしていた目線を即座に戻してみると、いかにも楽しそうに彼の口の端は上がりっぱなし。

そんな好奇心満載の目で、己はいま何ゆうた。





「仗助に聞いたぜ、空条承太郎は今週いっぱいしかこの町にいないそうじゃないか。
まさか彼について回るつもりじゃないだろ?ウチなら部屋も余ってる。」




そういえば、
いくら理解してくれたとは言え彼との約束は一週間だ。

もし、もしも俺が一週間経ってまだこんな行ったり来たりが続いた時、きっと承太郎は俺の世話をしてくれるんだろう。


それはどうなんだよ俺。






『…その前に帰る。』
「帰れるのか?行き来できるなら僕も連れていけよ。」

『ぜってェ嫌だよ!お前ホント好奇心の塊だな、いつか身を滅ぼすぞ。』




ケチだなとわざと聞こえるようにぼやいた露伴の頭を睨んで、うるせえチビ○る子ちゃんの花輪くんみてえな髪型しやがってと(心の中で)罵声を浴びせてやった。

そしたら、その顔をやめてくれと言われた。一体どんな顔してたんだ俺。





『帰れなかったら頼らせて。…考えたくねーけど』

「勿論。人生はそう上手くいかない」
『励ませよハゲ増せよ。』

「イントネーションに気を付けてくれ。僕はハゲてない」




そんなこと言って後頭部ジョリジョリのク・セ・にッ><


そう胸の中で言葉を返すとそのジョリジョリがやたらと気になってきた。

すぐに堪らなくなったのでちゃんと失礼しますと告げて余地を与えないよう素早く後頭部の毛を逆撫で。逆撫で。






『ふあぁ〜…!』

「気持ち悪い声出すなよ。」



『他に文句言わないの。』
「僕は猫じゃないぞ。」
『文句だよ突っ込みじゃねーよ、それともボケかソレは。どっちにしろ解りにくい』




そうして尚も露伴の後頭部をショリショリショリショリ。

至福だ。
このショリショリ感に加えて予想に反し露伴がキレないのがまたイイ。従順な感じ、ベネ!






「まだ僕の能力を知っていた理由は聞いてないな。」

『え〜もう飽きたよ今度にしよ。帰っちゃってるかもしんないけど』

「フン、そんなにアッサリ帰れやしないさ。キミはむしろ帰れなかった時のことを考えるべきだ」




何なのさっきから俺は帰れないみたいな流れ。

そんなこの世界で知り合いもろくにいない可哀想な俺に何故お前はビシバシ容赦ないの。人としてどうなの!!





『言っとくけど毎晩帰ってますから。』

「だったら話は早い。僕も連れていけよ、一晩でいい」
『なるほどそういう魂胆か。だが断るッ!』




この本人にズバァッと言ってやる感じ!フゥ!

イイねえ、洗顔と間違えて歯磨き粉で顔を洗ったくらいの爽快感!(実際はすごく顔面がイタイYO)









「解ったぞ。キミ、僕のストーカーだろ」



( ゚д゚)


いやいや解ったぞじゃねえよ、未来から来たってお前が言ったんだろ!

面倒くさくなって頷くと、困るんだよなーと優越感を含んだ呆れ顔で鼻息を漏らす岸辺露伴。

ストーカーという行為はだいたいとして今日お前が行った事で間違いないと思うぞ岸辺露伴。





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