理事長 T




「あ!竜二!」
「───ああ、花ノ下くんか」


理事長室に向かうと、何故か理事長室の前にクソマリモの姿。
こめかみに青筋が立ちそうになるのを抑えて、とっさに爽やかな笑顔で対応する。いやあさすが俺。完璧だな。


「特に用はないぜ!おじさんに会いに来たんだ!!!でも今前川が話してるから···」
「前川···──?前川宗太か?」
「?ああ!そうだぜ!」


あいつがなんでクソジジ...理事長に呼び出されてんだ。しかもこいつ、待ってるって...なんだ、まさかこいつら仲良しかなんかなのか?


「竜二?何変な顔してんだよ!」
「いや、なんでもない」


オメーにだけは俺のパーフェクトフェイスを変だ呼ばわりされたくなかったぞオイ。

...とにかく、花ノ下くんは早く教室に戻るように。そう言って俺は花ノ下視線を外した。
今理事長が前川と話しているなら、部屋には入らず用件は電話で伝えた方がいいだろう。胸ポケットから携帯を取り出して『クソジジイ』で登録されている番号にかける。

廊下にコールの音が響く...が、返事がない。
しばらく間を開けてまた二回、三回とかけ直しても、やはり返事がない。


「なにやってんだ?目の前にあるんだし入ればいいだろ!」
「...そうだな。そのとおりだな。はは」


クソマリモに言われて動くのは癪だが、クソジジイが俺に嫌がらせでもしてるんだと思うと今はそっちに腹が立つ。

ゴホンと咳払いをしてから扉を叩くと、中から「入っていいよ」と声がした。


「失礼します」


と言って、俺は理事長室の無駄にでかい(なんか凹んでるけど)扉を開けた。








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