生徒会長 T




桜ノ宮学園の生徒会長、西園寺竜二は、俗にいう“完璧人間”である。


成績優秀、容姿端麗、おまけに誰にでも優しく、まさに聖人のような男。その美しい髪と瞳はさながら天使のようで、彼の紡ぐ声は天使の歌声のようだとも称された。


─────しかし、それは生徒の望みの中に“のみ”存在する生徒会長である。



「あー···クソだりぃー····やってられっかこんなもん···」



そう言いながら机の上に広げられたプリントの上に頬を擦り付け怠惰を全身で表す男、それこそが俺、桜ノ宮学園の生徒会長こと西園寺竜二である。


成績優秀───確かに頭はいい。何故なら死ぬほど勉強したからである。つまり、“当たり前“なのだ。
容姿端麗────いや、これは生まれの問題だろう。遺伝子レベルの話になってくる。というより、むしろ俺が持って生まれたものって顔くらいしかねえ。ちなみにこの金髪は染めた···というか染められた。つまり偽物、天からの贈り物?いやドンキで揃えられます。


────で、生徒に優しい生徒会長?これは嘘も嘘、大嘘だ。


「誰だよトイレットペーパー便器に落としてそのままにした奴は。マジでぶっ殺すぞ。普通に考えて詰まるに決まってんだろクソが低能すぎるにも程があるだろ。低脳なら低脳なりに人様に迷惑をかけないように生きろやケツの穴に3ロールぐらい突っ込むぞ」


見ての通り、皆さんが天使と呼ぶこの俺は実は死ぬほど口が悪い。というか、まず根本的に性格が悪い。


多分、今の俺の言葉を普段俺の後ろをついてまわる親衛隊共が聞いたら確実に泡を吹いて倒れるほどに、だ。


────まあ、つまり。俺は普段は猫を被っている訳である。


理由は特にない。
ただ、この方がいいとか、その方がいいとか、他人の希望をとやかく言われるのが死ぬほど嫌いなので、そう言うことを言われる前にやってやろうとしたらこうなった。

つまり、環境が俺をつくったのだ。


「あーーー···腹減った······ってもう2時?!やっべ!!」


今自分の頬の下にあるプリントは風紀に2時までに持ってこいと言われていた書類である。
1時55分、間に合うか間に合わないか微妙なライン。


とりあえず、急いては事を仕損じる、だ。

落ち着こう。

俺はゆっくりと椅子から立ち上がり、生徒会室に取り付けてある洗面台の前に立った。

きちんと身なりを整えて、いつものパーフェクトスマイルを顔面に貼り付けると、プリントを持って生徒会室からでて風紀室に向かった。






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