出会い IV



───これが生徒会のやつら

───え、え、これが?!モデルとかではなく?!

───ああ、こいつらがこの学園の生徒会。



先生に見せられたのは個人の書類のようなもの、しかし個人情報保護のために大体が黒塗りされているので分からない。が、問題はそこではなく、こいつらの顔写真。


───この、西園寺?って人とか、なんかもう、住んでる世界が違う顔してますよね

───まあ、こいつが生徒会長だからな。

───でぇ?!こ、この人が···!?





間違いない、こいつは




(生徒会長···だよなあ···)



だがしかし。
俺が話で聞いた生徒会長は、もっと···こう···!誰にでも平等に接し、有無を言わさない完璧な人間ってイメージだった、はず·····


「マジクソマリモコロス」


俺の目の前にいる生徒会長(仮)の顔は憎悪と嫌悪で見せられないよと規制が入るレベルで歪み倒し、そしてどこに仕込まれていたのか木にぶら下がったサンドバックに右ストレートをかましている。ワオ。ファンタスティック。どう見てもカタギじゃないぜこの動き。



────···とりあえず、見つかったら厄介だ。逃げよう。



ゆっくりと立ち上がり、生徒会長に背中を向け、一刻も早くこの場を離れようと動き出した途端。


────パキッ

と、小枝の折れるような音が、俺の足元で響いた。



「ッ、誰だ?!」


やばいと思ったのもつかの間、こちらを振り向いた生徒会長とバッチリ目が合ってしまう。これがアニメならきっと三カメは用意されてるだろう。

そして続く沈黙。生徒会長はいつまでたっても動こうとしない。



「───ハ、ハハ···失礼しましたー·····」



チャンスと思い、さっさとここから逃げようと後ろを振り返ると、ガシッと何かに手首を握られる。それも物凄い力で。


「おい、お前」


そーっと後ろを振り向くと、そこには整った無駄のないお綺麗な顔。

───わー!きれーい!日本人じゃないみたい!すっごーい!でも手がすごくいたーい!離してー!

心の中で語彙力の低下を実感していると、生徒会長がより一層手首を握る力を強くした。



「今見たことは忘れろ」
「····へ?」
「だから、今見たことは忘れろ」


ギリギリと、俺の手を握る力が強くなるのとは裏腹に、生徒会長の言葉はどんどん力を失っていく。
これは、もしかしなくても、



「·······───せ、生徒会長の弱みゲット?!」



「コラお前話聞いてたか?!忘れろって言ってんだよ!!」


思いっきり頭を叩かれました。痛い。





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