出会い X



場所は移動して、生徒会室。
目の前には、生徒会長の顔。



「お前名前は?」
「前川宗太です」
「あー···、あれか。転入生か」



俺の前にふんぞり返って偉そうに鼻くそほじっているのがこの学園の生徒会長らしい。

···いや本当にこれ?あってるの?生徒会長ってこんな普通に鼻くそほじるの?いいの?綺麗すぎる顔面に相まって絵面がとんでもないことなってるよ?


「───で、何が欲しい?金か?」
「···えっ、あっ···いや、特に困ってませんけど····」
「はあ?···チッ、じゃああれか?俺か?俺なのか?だから俺の弱みを握ろうとこそこそ···」


会長は腕をクロスさせ自分の体を隠すようにして俺から逃げる。

───ん···??
これどっかで見たことあるぞ···??

ああ、あれだ。隣のお兄さんに弱み握られた人妻が秘密にする代わりにあんなことやこんなことを要求される···─────


「ってちょっとォ?!なんか勘違いしてません?!?!」
「···は?」
「お、おれ···その、別に会長様の弱みに握ろうとしてた訳じゃないですから···。ただ見てしまったのは不可抗力?というかなんというか·····いやまあ弱みゲットしたことには変わりないですけどお···でも、だからと言ってあんなことやこんなことをしろとかはいいませんから!!!!」


一息で言い切ったせいで酸素が足りず、苦しみから逃れるようにぜーはーと体を大きく上下させ息をする。当の会長は唖然とした顔をして、目をぱちくりさせていた。


「···お前····ノンケか」
「····え、ええ!そりゃもう!!バリバリの!!」


これでもかと首を縦に振り、会長の顔をじっと見る。すると会長の綺麗な青い目が少し伏し目がちに下ろされた。


「·······じゃあ、取り敢えず。この事を他言したらお前を社会的に消す。そしてその後俺も消える。このクソみたいな学園が今正常に作動しているのは誰のおかげだ?もちろん俺だ。その俺がいなくなったらここがどうなるかくらいお前でも分かるだろ?分かったらさっさと出ていけそして二度と俺の前に顔を出すなよじゃあな」



絶対零度の声でそう言い切った生徒会長は俺を乱暴にがしりと掴むと、生徒会室の外にほっぽりだした。


「もうくんじゃねえぞ」


バタンッ!!


そう言って、勢いよく扉が閉められた。





「はあ···???なんだ、あいつ」



めっっさ腹立つぅう···!!!!
ああああもう!!あのお綺麗な顔が特に!腹立つ!なんなんだよ!イケメンは何しても許されるってのか?!クソオーーッ!!



「つーかここどこだよ!!」




───じわじわとはらわたが煮えくり変える怒りにも好奇心にも似た感覚。そして、微かに感じる夏の訪れ。


今から始まるであろう物語。
果たして、自分はこの先何を選び、そしてどう変わるのか。


──恐らく、今は分からなくてもいいことなのだろう。



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