再来 V






「げ、」
「前川ーーーッ!」


そこにはモジャモジャ頭に瓶底メガネの宇宙人。花ノ下姫がいた。


「だから早く食べろっていたのに」
「ごめんて···!」


ドタドタとうるさい足音が徐々に近づいてくる。
高見くんはキョトンとした顔をして俺と広海の顔を見比べている。


「え?だれ?あの人?」
「世間知らずも甚だしいぞ、青年。」


広海はそう言って未だに状況を理解出来ていない高見くんの足をコツいた。


「前川も飯か?その···き、奇遇だなッ!」


うん、分かった。そうだな、奇遇だな。だから背中を叩くのをやめてくれないか。折角腹に入れた1300円が今にも出てきそう。

助けろという視線を広海に送ると、大きく溜息をついた後口パクで「ば、か」と言われた。今言うかそれ、解せぬ。


「花ノ下せんぱーい!うちの宗太クン虐めるのやめてくださいよー」
「た、高見くん···!!」


状況は理解できてなさそうだが、なんとなく空気を読んだのか高見くんが俺の背中を叩く花ノ下の手を掴んで睨みをきかせた。


「ねえ、何やってるの?触んないで」


すると今度は、花ノ下の後ろにいた取り巻きの中から、一際爽やかなオーラを醸し出していた男が、花ノ下の手を掴んだ高見くんの前に立った。


「ただの庶民の癖に私たちの食堂を使うとは···ほんとに、生意気ですね」


ふん、と嫌味なセリフを吐くのは何回目のご対面か、例のド変態インテリメガネの副会長サマだ。
その横にいたちっこい2人組は俺を見てクスクスと笑っている。


「···あんたは、スポーツマンだなんだと有名な···山道先輩、でしたっけ?」


高見くんは、そう言って自分の前に立つ男を鼻で笑った。


「···あはは、···なにか、おかしいかな?」

「いえ、なぁんにも?」


バチバチと火花を散らすように睨み合う2人。
す、すごいな高見くん。あの底知れない暗黒オーラの前にあそこまで···!!


「前川!!俺と一緒に食べようぜッ!」
「あっ、いやいいです。もう出るんで。まじ」


遠慮無しに俺の隣に座り込んできた花ノ下をするりと交わし、席を立つ。




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