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相変わらず文句の一つもない料理をゆっくり味わい食べた後、俺はリビングのソファに特に何をするもなく寝転がっていた。会長はキッチンで後片付けをしている。
悪いな、と思うけど俺が手伝うとろくなことにならなくて結局怒られるので手は出さず黙って見ている。

何もすることがなく皿と皿とがぶつかる音に耳を傾けていると、ふとその音が止んだ。ちょうど瞼も重くなってきていたので、会長の方にくるりと顔を向け、「会長」と声をかけた。


「眠いからベッド運んでけろ」
「お、なんだ今日は随分積極的だな?」
「うわー!」


ソファの上で「ん、」と大きく手を広げると、会長は持っていたコップを机に置いて俺を抱き上げた。

抵抗することも無く抱き上げられた俺は、どこぞの村娘のようなふざけた声を上げてへらりと笑うと、会長も楽しそうに笑った。

言い忘れていたが、正直会長は俺にめちゃくちゃ甘い。もうほんとに、非リア時代の俺が見たら引くレベルで。

でもまあ会長って千年に一度くらいのレベルでイケメンだし?巷で噂のスパダリの権化のような男だよ?そんなやつに毎日愛囁かれてたら無理じゃない?いや無理。黙って抱かれるしかない。

なんて言うノンケ離れした今の心境を昔の俺が聞いたらなんて言うだろうな、なんて他人事のように思っていると、会長が抱えていた俺をベッドに下ろした。


「で、どうする?お姫様?」
「なにそれ最高に笑える」
「そうか?」
「まあ、確かに会長は王子様か」


顔とか声とか。

俺がそう言って上に乗ってきた会長の首に手を回すと、会長は不意を食らったように顔を真っ赤に染めた。

「ふふ、会長顔真っ赤じゃん。照れてんの?」
「はー····もうお前、うるさい」
「照れんな、んッ!?ふ、んぅ···ッ」


会長が俺の顎に手をかけたと思うと、大きく口を開けて俺の口に食らいついてきた。
何も準備していなかったので息ができない。








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