うん、どこから話せばいいのかな。
僕もまだ理解してない。
とにかく気付いたら森の中で寝てた。
僕は確か団長と阿伏兎さん達と戦場にいた。
とっさに手を伸ばすと包帯と傘はあった。
包帯は太陽から肌を守るのに必要だし、傘は団長と色違いのお揃いだ。
無くすなんて絶対有り得ない。


本題に戻るとしよう。
ここは何処かな?

黙っていても仕方がないし、傘をクルクル回して歩いれば教会が見えた。
そうだ、あそこで聞いてみよう。


「すいませーん」

扉を叩いて中に入れば色とりどりの硝子から陽光が差している。


「どなた、でしょうか?」

年老いた人、きっと神父様かな?

「ここは何処ですか?」


*


*


悪い夢を見た。

そう思いたい、でも今僕の手を染めている赤は確かに慣れ親しんだ血だ。
先程貫いた神父様を信じるならここは別世界。
団長のいない世界だ。
渇いた笑いが僕の口から洩れた。


嘘だと言って。

夢だと言って。


あの人がいない世界で僕に生きろと言うのか。



無慈悲な運命
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