イカロスの翼 | ナノ

結んで絡んで


「それでマッチはリンを使うだろ?だから俺が考えるに火を起こすことは」

目の前でマグルについて楽しそうに語るウェルを見ながらハーマイオニーは混乱している頭を落ち着かせるように自分なりに分析していった。

彼は、ウェル・グラキェースは、生粋のマグル好きだった。
マグルマニアと言ってもいいほどに、彼はマグルのことを良く知り理解していた。
ロンの父親もマグル好きで興味を持っているが此処までマグルの文化などを理解している魔法族を彼女は初めて見た。

いつもの冷たい瞳はどこへ行ったのか。
最初こそ彼を疑い、信用していなかった彼女だがあまりの熱弁に警戒は簡単に解けていった。
陽の光にキラキラと輝く銀色の髪を眺めながらハーマイオニーはクスクスと笑いだす。

「グレンジャー?」
「貴方って、」

笑いが止まらない彼女を怪訝そうに見つめながらも彼は楽しそうに笑ってハーマイオニーの頬に手を伸ばした。

「髪食べてる」

恥ずかしさでカァッと赤くなる彼女にウェルはへらへらと笑った。

「その長さだとよく口に入るよね、俺もよく入って面倒だから切っちゃった」

そう言えば彼は少し前まで髪を伸ばしていた。
その頃は彼のことが大嫌いで緑の紐で結ばれた銀髪を見るたびに眉を顰めていた。

「ねぇ、貴方がマグル好きってマルフォイは知っているの?」
「まさか、ドラコどころか親も誰も知らないよ」
「も、もしバレたら…?」
「聖マンゴにでも入れられて一生閉じ込められるかもね」

ハハハと笑う彼と対照的にハーマイオニーはサァッと青ざめ慌てて周囲を見渡した。

「まって、私自分がとっても重大なことに関わっているって今わかったの」
「ふーん、なに?」
「私達が一緒にいるのがわかったら、いいえ、話しているのさえ見つかったら貴方は速攻聖マンゴよ」
「なんで?」
「なんでって、貴方」
「わかってるよ、でも此処は誰もこないし見つからない」

そう言う彼は本当に楽しそうに笑ってハーマイオニーの手を取り小指を絡めた。

「これは俺達だけの秘密だよ、ハーマイオニー」

指切りをして彼は彼女の名前を囁いた、それだけで彼女は真っ赤に染まったが絡められた小指に心臓はまた煩く鳴り出す。

「な、まえ…」
「あぁ、キミも俺の名前を呼んでくれたら嬉しいな」

何せ俺の名前を呼ぶのは親かドラコだけだからねと不満そうに言う彼に思わず笑ってハーマイオニーは小さく「ウェル」と呼ぶ。

それに満足そうに彼は微笑むのだった。



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