「シルバ!」

「シリウス!」

勢い良く扉を開けて入ってくるや否やシリウスと呼ばれた男はシルバと熱い抱擁を交わす。


「会いたかったよシルバ!キキョウにも、相変わらず美しいね」


ハハハと爽やかに笑う男はシルバと同年代に見えない。プラチナの髪と白い肌、とても暗殺者には見えない優男だ。16歳の娘がいるようにも見えない。


「シリウスも相変わらずだな、で?お前の宝物のロアちゃんは何処だ?」

ニコリと笑うシルバにシリウスはニコリと微笑み返す。


「それがね、途中で雨に降られちゃってね、そのね」

「このクソ親父ィィィイ!!!」

バゴォッッと扉が壊される音と共に一人の青年が乗り込んで来た。


「のん!ロア!そんな言葉使いパパは認めないよ!」

「何がのん!だ!ふざけやがって!世界一周旅行と騙してこんなとこ連れて来やがって!」


シリウスの胸倉を掴みグラグラと揺らす青年は実にシリウスに似ていた。
スラリと伸びた背も、整った顔立ちも。
違うのは伸びた髪をおさげに結んでいることだ。


「ロア…?」

その単語にシルバの表情がピキリと引きつる。

ガシッとシリウスの胸倉を掴むとシルバはゴゴゴゴと効果音がつきそうな笑顔でシリウスを揺さぶる。



「どういう事だ?シリウス、娘が生まれたと言っていたよな?」

「う、うん、娘だよ、娘…」

「何処が娘だ!これの何処が!」

シルバは激昂しながらロアを指差す。


「深い理由があるんだよーん」

シリウスは悪びれなくへらりと笑った。



(誰だよお前)


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