「とりあえず着替えたら?」

長男の言う通り俺は男サイズの服でブカブカのびしょ濡れで正直気持ち悪かった。


「うげぇ」

クローゼットを開けると見事にフリッフリの女の服ばかり。


「あぁこれは母さんの趣味だね」

「悪趣味…」


ご丁寧に女物の下着まである。
サイズがぴったりなのを見てもう俺は泣きたくなった。


「お前用の借りるわ…」

「え?サイズ合わないでしょ」

「シャツだけでいい」


ないよりはマシだ。
白のシャツをとって上の服を脱ごうとしたが、いやちょっとまて


「おい」

「なに」

「なにじゃねぇだろ、あっちでも向いてろ」

「なんで」

「何でって、仮にも今俺が女の姿ぢからだよ」

「へぇ、気にするんだ」

バカにしたような口調にイラっとした。
それとも見たのかよこの変態。

「一丁前に女の裸に興味あんのかよ?」

「さぁ、俺も男だからね」

「は?てめぇ…言っとくが閉じ込められてるからって変な気起こしたら本気で殺すからな」

長男ははいはいと言って反対側を向いた。
その隙に濡れた服を脱ぎ捨てる、下着も濡れているので脱いだ。
替えの下着は、流石に長男のは借りるのはまずいのでしぶしぶ女物を履いた。
上だけはつけねぇ、ぜってー。


「もういいぞ」

「着替えのたびこうするの?」

「当たり前だろ、つーかこの鎖が絶妙な長さだからあんま遠くにも行けねーしな」

俺がシャワーを浴びてたら長男はドアの前にいなきゃいけねぇ長さだし。


「これも計算されてるわけだ」

「用意周到だったってことか」


もう怒りさえ湧いてこなかった。


(先が思いやられる)


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