あれから何時間が経ったのだろう。

飯の時間なのかガチャンと扉の真ん中に設置された小さな窓から食事が運ばれてきた。

此処は食べたいものを電話で伝えれば持ってきてくれるらしい。


とりあえず食べるしかないので二人用のテーブルに運び食事をとることにした。



カチャカチャと食器の音だけが響く。
こいつと会話なんてないしな。

目の前の無表情は慣れた手つきで綺麗にナイフとフォークを扱う。
こう見るとこいつ育ちはいいんだな。
温室育ちのお坊ちゃんって感じだ。

俺も一通りのマナーは叩き込まれたけど普段は箸が多いから少々だるい。


「何見てんの」

「あ?綺麗に食うなって」

「これくらい普通」

「あっそ」

本当に可愛げがない。
まだキルアと許婚のほうが上手くいっていた。


食事がすめばまた静寂が包む。
こんな暮らしが続くのか。
俺は発狂しそうだ。


「なぁ、俺らいつここから出れるんだと思う?」

「…さぁ。でもまぁだいたい想像つくけどね」

「は?どんな?」

「二つあるけど、俺たちが喧嘩しないで仲良くなったら」

「…あー…、もう一つは?」

「…いや、これは俺の予測だしあり得ないことだから」

「仲良くねぇ、じゃあ、よ。俺はとりあえずここから早く出たい」

「俺だってそうだよ」

「だから一時休戦にしてここから出るまで喧嘩はなしにしようぜ」

「…いいけど」


あぁよかった、意外と話が通じるじゃねーの。


「よかった、じゃあ俺シャワー浴びたいんだけど」

「また扉の前で待機か」

「お互い様だろうが」




(踏み出す一歩)


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