「やぁ」

俯く彼女に話しかければイヴは顔を上げて少し驚いたように僕を見た。


「マルフォイ、くん…」

「ドラコで構わない」

「え、…」

「僕もイヴと呼ばせてもらう」


そう言えばイヴはどこか嬉しそうにはにかんだ。

不覚にも僕はそれを見て心臓が高鳴るのを感じた。

ときめくなど生易しいモノじゃない。
焼け付くような、どろどろとした感情だ。



「僕等はお互い監督生なのにあまり会話んしたことなかったね」

「そう…、ね」

「キミは僕がキライ?」

「まさか」

彼女の瞳が僕を正面から見つめる。

この瞳を僕は、ずっとーーー犯していた。



一目見た時から彼女が欲しくてたまらない、恋なんてそんな可愛らしいモノじゃない。

僕はこの瞳に欲情して、彼女を欲してたんだ。




「よかった、僕は君と仲良くなりたいんだ」

「本当?」

「あぁ、君は…?」

「私、も…。ずっとドラコと話してみたかった…仲良くなりたかった」


彼女の言葉に胸が締め付けられる。どうしてこんなにも、僕は。


「じゃあ今度からホグワーツで会ったら話しかけても?」

「もちろん、私からも話しかけるわ」



それからたわいもない話で僕等は笑い合う。側から見れば微笑ましいのかもしれない。が、あの瞳の熱情は変わらない。

彼女も、僕も

溶けるほど熱い眼差しでお互いを見つめ合う。


その漆黒の瞳に僕は呑まれ、イヴの虜になっていた。



絡まる鎖と絡まる想い
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