いざ、勝負


「クロロ?」

アネモネが目を覚ますと既にクロロは居なかった。
しょんぼりとしてると部屋のドアが開きシャルナークが顔を覗かせた。


「やっと起きたね、おはようアネモネ。」

「シャル…、おは、よ。クロロ は?」

「団長は仕事だよ」

「お仕事…」

しゅんとするアネモネにシャルナークはやれやれと優しく髪を撫でた。



「広場にフェイタンとフィンクスがいるよ」

「ふぇーたん!」


シャルナークの言葉を聞くとキラキラと瞳を輝かせ、真っ直ぐに広場に駆け出した。



「ふぇーたん!」

フェイタンは拷問器具の手入れをしていた。
向こうから走ってくる白銀に気付くと器具を置き、ニヤリと笑った。


そのまま飛び付くようにギュッと抱き付く。


「アネモネ危ないよ、私コレ持てるのに抱き付いたら」


フェイタンはさらりとアネモネの髪を撫でた。

その様子を面白くなさそうな顔で見てる男がいた。



「なんでフェイに懐いてんだよ」

フィンクスもまたアネモネにのめり込んでる1人だった。
そんなフィンクスに気付くとアネモネはニコニコしながらフィンクスに抱き付いた。


「フィン!おかえりなさい」


フィンクスはデレデレと顔を緩めながら「おう、ただいま」なんて言うもんだから、フェイタンから冷たい視線をくらった。



しかしいくら仲間から冷たい視線を受けても譲れないものがある。

フィンクスにとってアネモネは唯一の癒しだった。


「アネモネ、クッキー買ってきたぞ」


「!、やったー!嬉し、ぃ!」


わーいと万歳をして喜ぶ彼女にフィンクスはまた自分の頬が緩むのを感じた。


「アネモネ、私ケーキ買て来たよ、こち来て食べるね」

フェイタンは箱を開けて中を見せた。


「ケーキ!大好き!!!」


フェイタンのところへ行こうとするアネモネをガシリと止める腕がいた。


「駄目だよアネモネ、まずは歯磨きと洗顔、その後に朝ごはん。お菓子ばかりじゃ栄養が偏るからね」

「…はーい」


アネモネはそのままシャルナークに抱えられ、連行された。



その後、広場にフェイタンとフィンクスの舌打ちが響いた。


この勝負、シャルナークお母さんの勝ちです。


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