貴方に釣り合うために。



シャルナークが作った朝食をアネモネは頬張る。

難しい料理は作れないので今日の朝食はメープルたっぷりのパンケーキとハムエッグ、サラダだ。


「こら、急がないの。ゆっくり食べなよ。ほらついてる」

「ん、むー」

口元にベタベタとついた黄身やメープルをシャルナークがハンカチで拭き取る。


「そろそろテーブルマナーも覚えなきゃね」

「てーぶ、るまなー?」

「そう、アネモネも立派なレディになりたいでしょ?」

アネモネはキョトンと不思議そうにシャルナークを見つめた。


「れ、ディ?」


*


朝食が終わると、広場にアネモネが戻って来た。

フィンクスはいない。


「ふぇーたん、れでぃってなぁに?」

首を傾げながら質問するアネモネをフェイタンは膝の上に載せた。


「立派な女てことよ」

「パクと、かマ、チとかシズクみ、たいな?」

「ちと違うね。完璧な女て意味よ」

「完璧?」

「誰が見てもいい女て事ね」


フェイタンはアネモネの頭を撫で、顔を合わせニヤリと笑った。



「私、頑張ってレ、ディになるね」

「何故レディになりたいか?」


意気込むアネモネをフェイタンは訝しげに見る。


「だって、クロロにはレディじゃないと、恥ずかし、いでしょ?」


ふわりと微笑んだ彼女は、無邪気な彼女ではなく女の子の顔をした彼女だった。


prev next