調べておきましょう。



ーバタン

「シャルはいるか」


広間の扉が勢い良く開かれたと思えば何やら真剣な表情のクロロが入ってきた。


「シャルなら朝方まで情報収集してたよ」

「クタクタらしくて今ソファーで寝てるわ」


「叩き起こせ」

「団長話聞いてた?シャルはクタクタ何だって」

「速急に調べて欲しい事があるんだ」


クロロは切羽詰まったような声を出したが、団員達は皆我関せずと言った反応で相手にしない。

前にも今と同じように騒いだ時が何回かあり、いずれも新発売のプリンやバケツプリンとどうでもいい事ばかりだったからである。


「はいはい、起きたら言っとくから。どうせプリンだろ」

「違う、今回は」

「クロロ、」


マチが呆れながらもクロロの相手をしていればアネモネの声が聞こえ、皆開いた扉に視線を向けた。


まだ眠たいのか目を擦りぬいぐるみを抱えているアネモネに思わず顔が緩みそうになるが、アネモネの姿を見て皆固まった。


「、アネモネ…それ」

「な」

「どうしたんだい、いったい」


アネモネの象徴とも言える猫耳と獣尾が無くなっていたのだ。


「わかっただろ、はやくシャルを叩き起こせ」


クロロの言葉にフィンクスは慌ててシャルナークを叩いた。


「ッ!…、痛…何す…んだよ、俺今疲、れてるから」

シャルナークは相当疲れてるらしく目も開けずに寝返りをうった。
フェイタンがその手を掴みギリギリと関節を痛みつける。


「痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ!」

「ささと起きるね、永遠の眠りにつきたいか?」


飛び起きたシャルナークは痛めつけられた肩を押さえながら不満げにクロロを見た。


「…で、用件は何?」

「アネモネの耳と尻尾が消えた」

「は?そんな訳、」


シャルナークは嘲笑しようとしたが、視界に入ったアネモネを見て血相を変えた。



「今すぐ調べる!」


シャルナークが調べてる間に団員達はアネモネに歩み寄った。


「アネモネ、大丈夫かい?」

「?」

「本人はあまり気にしてないらしくてな、痛みも無いらしい」

「あ、それに耳ができてる」

シズクの言葉通りアネモネの顔の横には人間と同じ耳が出来ていた。


「本当」

「こうしてると人間の女の子みたいね」


だんだんと違和感も無くなり、団員達がいつもと同じようにしてる中、シャルナークが調べ終わったらしくクタッと机に寝そべった。


「わかったか」

「はっきりと明確にはわかんないよ、ベリル族の情報は少ないし。だからあくまでこれは俺の推測なんだけど…」

「それでもいい、話してみろ」

「文献に『猫混ざりなるものが人に近付く時、姿形止まり永遠に時を進まぬ』ってあって…。たぶんベリル族はある程度育ったら人間と同じようになるんじゃないかな、だから大人のベリル族は見つからない」


「ふむ、興味深いな。アネモネに害はないんだな?」

「うん、この文献では書かれてないよ」


「そうか、それならいい。シャル、ナイスだ」


「俺もうクタクタだよ」


シャルナークはコピーした文献をクロロに渡すとソファーに倒れ込んだ。



「クロロ」

「何だ?」


少し不安そうな声を出したアネモネに、クロロは安心させるように撫で優しく問い掛けた。


「耳と、尻尾、無くても私の事、嫌いにならない?」

アネモネの言葉にクロロはキョトンとし、理解したのかアネモネをギュッと抱き締めた。


「どんな姿になってもアネモネはアネモネだ。俺の側にいてくれるだろう?」


「うん!」



クロロの言葉にアネモネは満面の笑みを浮かべ、スリスリとクロロに頬ずりした。


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