何だ

何だ今の。


僕は今日とても機嫌が良かった。
ローブはおろしたてだし、ホグズードも盛り上がった。
気分良く歩いている所に何かがぶつかってきた。

そして顔やローブに何かがかかった。

甘ったるい匂いが広がる。


見ればウィーズリーやポッターと仲の良いハッフルパフの下級生が阿呆面をしていた。


こいつ、僕に何かこぼした。

匂いからしてお菓子か。

ペットリと張り付くソレに僕の機嫌は急降下し、その女を怒鳴りつけた。


視界の隅にこちらに向かってくるウィーズリー達が映った。
ちょうどいい、こいつをダシにしてあいつらをからかってやろう。


「そんなに食べたいなら這いつくばって舐めればいいんだ!」


気分良く言い終わればゆっくりと女が近付いて来た。


色素の薄い顔立ちに桃色のプルンとした唇が印象的だった。


次の瞬間、

その唇と僕の唇が重なった。


キス、された。


予想外の行動に僕の頭は真っ白になった。


「い、きやぁあああああああああ!!!!」



僕は思わず悲鳴を上げ、その場から逃げ出すように走った。


ウィーズリーの双子の笑い声がやけに頭に残った。



何だ、


何なんだあの女は!!!!



顔がやけに熱い。

走ったせいではない。

キスされた唇を指で押さえる。


広がる、甘ったるい味。


蜂蜜…か?


あの女の…、


さらに顔が熱くなる。


何なんだっ!!!

別に初めてでもないのに!


何で、

何で僕はあんな女みたいな悲鳴を…っ


クソっ!!


あの女の顔が頭から離れない。


1つ下のハッフルパフのハニー・メープル。


未知の生き物だ。


この気持ちに名前をつけるなら?
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