嘘から始まるキミとの距離 | ナノ


▽ 言わない言えない


ハリーがグリフィンドールの寮に戻るとロンとハーマイオニーがすごい剣幕で飛んできた。


「ハリー!君今日ホグズミートでマダム・パディフットの店にっ」

ロンの口を手で押さえつけるとハリーは周りをキョロキョロと見回し小声で囁いた。


「君たちもいたの?」

「そんなわけないだろ!どうして僕がハーマイオニーなんかと!!痛いっ」

「外から見えたのよ」

ハーマイオニーはロンの足を踏み付けながら冷静に答えた。


「ハリー、あなたライラックと付き合ってるの?」

ハリーは何も言わずこくりと傾いた。

「どっちから!?」

ロンは食い気味にハリーに詰め寄る、ハリーは苦笑いしつつ照れたように「サラからだよ」と言った。


「何で今まで隠してたのさ!僕ら親友だろ!」

「サラはスリザリンなんだ。グリフィンドールの、しかも僕と付き合ってるのがバレたらスリザリンに居づらくなるだろ」


「僕らが広めるとでも思ったかい!?紹介ぐらいしてほしかったよ!」


プリプリと髪と同じくらい顔を赤くさせて怒るロンにハリーはついに折れた。


「わかった、明日サラに紹介するよ」


*


「そういう訳で、今日は二人もいるんだ」

ヤドリギの下で待っていたサラはハリーの他にロンとハーマイオニーが来たことに少し驚いたが嫌な顔せずニコリと微笑んだ。


「はじめまして、私サラ・ライラック。二人の事はいつもハリーから聞いてるわ」

サラの優しい口調と笑顔にロンはポーッとなった。こんなスリザリン生もいるんだなと。


「はじめましてライラック、聞いてるなら大丈夫ね。良かったらハーマイオニーって呼んで?」

「ハーマイオニー、私も、サラって呼んでくれると嬉しい」


きゃっきゃと仲良くなる女の子達をロンは恨めしそうに見つめる。


「もしよかったらロンって呼んでもいい?」

「もちろんさ!サラ!痛いっ」

パアッと明るくなっていきなりサラの名前を呼んだロンが面白くなかったのかハリーはロンの足を踏みつけた。


「よかったわ、スリザリンって聞いて不安だったけどサラなら大丈夫ね。ハリーの事宜しくね」


ハーマイオニーが明るくそう言ってサラの手を握った。ズキッと何処かが痛んだ。



罰ゲームだったってことを言わないと。

今は本当に好きだって言わないと。



しかしそんな事を言うタイミングもなく、二人の関係はずるずると幸せに続いて行った。

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