ローズ・マルフォイはマルフォイ家の娘となっているがルシウスとナルシッサの子供ではない。

純血貴族ブラック家の次男、レギュラス・ブラックの娘であった。しかしローズが生まれた頃には父親はすでに死んでいて、母親ももともと体の弱い女性だったらしくローズを生んで死んだ。その頃のブラック家は衰退しており逃げ出した息子の置き土産の面倒をみる余裕などなく、だからといってブラック家の血を絶やすわけにはいかないと信頼できるマルフォイ家に押し付ける形で受け渡したのだ。

その時ナルシッサはドラコを身籠っており他の赤子など育てる余裕などないとルシウスと揉めに揉めたが、いざ育ててみるとローズは少しも手がかからない、まるで自分の立場をわかっているかのように大人しかった。

こうしてローズは無事にマルフォイ家の長女として引き取られた。翌年にドラコが生まれるとローズはさらにマルフォイ家に馴染みやすくなった。

どういうわけかローズとドラコは瞳と髪の色が同じであった。さらにナルシッサとレギュラスが従姉妹のせいか顔立ちもどことなくナルシッサに似ていてローズの血統を疑う者などいなかった。


そしてローズはすくすくと育ちルシウスに言われる前に自慢の娘へと育った。


それもこれもすべてローズが自分の生い立ちを理解していたからである。
ローズは赤子の時から言葉を理解できたし、自分の存在が望まれていないのも知っていた。だからこそ気に入られるように常に愛らしい理想の娘を演じてきた。
その甲斐あってルシウスとナルシッサに実の娘のように可愛がられて育った。

賢い彼女はわかっている。

小娘一人では生きていけないことを。力のある家に嫁がなければいけないことを。


だが彼女は確信していた、お父様がみすみす私を手放すわけがない。
むしろ一生マルフォイ家に縛りつけて置きたいはずだ。



そのための策はあるだろう、それを狙っていたのだから。


舞い散る花弁は濡れている

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