いつか誰かに“お前はシスコンだ"なんて言われたことがある。その時はカッとなって違うと怒鳴ってしまった。

そもそも実際何度か交際したこともあるし女なんて勝手に寄ってくる。本気になったことはないけれどそれとなく気に入ったから付き合った。でもどの女もピンとこないで結果僕が冷たいと向こうが泣いて面倒になって別れるパターンが殆どだ。

初めは上手くいくと思ったのに。

もちろんこういった女関係は姉上には秘密だ。



そして現に今だって手紙を貰って呼び出しを受けてる。


「こんにちわ、マルフォイ」

「君は・・・」

「レイブンクローのマーガレット。マーガレット・ロザリー」

ロザリー?あぁ、何度かパーティで会ったことがある。父親の方と。ということは純血、か。


「それで、マーガレット。僕になんのようだ?」

「ふふ、やだ。もうわかってるでしょ?私あなたが好きなの」


風が舞いふわりと彼女の金に近い背中まである髪が揺れた。表情は悪戯をしてる少女のようだが光を浴びてキラキラ光る薄い水色の瞳には隠せない緊張が現れていた。


悪くない、な。


「付き合ってくれる?」

「・・・あぁ」

「ホント!?わぁ、夢みたいだわ!」


マーガレットはニコッと微笑むと僕の腕に絡すすみ付いてきた。視界にブロンドの髪が映る。


今度は上手くいくかもしれない。



僕とマーガレットが付き合ったことは瞬く間にスリザリン中、いやホグワーツ中に広がった。姉上を除いて。


「ドラコ!あんな子のどこがいいのよ!確かに成績はいいかもしれないけど女としての頭はすっからかんよ!?」

朝から横でキーキー喚くパーキンソンに嫌気が差し投げやりに何度目かの説明をした。


「だから向こうから告白してきたんだ、嫌だと思わなかったから付き合うことにした」

「どうせあの子はドラコのことを見てないわ!目的はドラコの家柄よ!」


君だってそうじゃないかと言いそうになったがこれ以上うるさいのは勘弁なので聞き流す。


「それにしてもマーガレットか」

この間水をかけられたばかりのザビニがまた横から口を挟む。どの面下げてこいつはここにいるんだ。


「彼女確かに可愛いけど意外だ、ドラコはああいった女女した性格の子は苦手だと思ってた」


ザビニはふてぶてしくにやりと笑いながらオートミールを口に運ぶ。


「別に」

「マルフォイは中身なんて気にしてないさ」

少し遠くに座っていたノットに言葉を遮られ視線を向けると皮肉った笑みを浮かべながらノットは僕を見た。


「マルフォイが付き合う女の子には共通点かあるだろ」


「共通点?」


パーキンソンが食いぎみで質問を投げかける。



「そう、だいたい背中まである金に近い薄いブロンドにパッチリ大きな青い瞳か薄い水色」


ノットの言葉に周りの連中は確かにと頷く。僕自身意識していなかったが思い出せば皆確かにそのパターンが多い。


「無意識に姉に似た女を選んでるんだろう。究極のシスコンだよ」


ノットは嘲笑うように鼻で笑うと僕が怒り出す前に大広間から出ていった。



そうか、以前シスコンと言ってきたのはノットだったか。


違う、シスコンなんかじゃない。
そんな気安く僕をわかったなんて思わないでくれ。



僕はただ


咲いた、咲いた。

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