「…ジュリア…ッ」 ジュリアは殴られ赤くなったドラコの頬を優しく撫でると、キッと恐い顔でドラコを睨み付けた。 「…どうして…ッ、…こんなこと…!ダメ、…ダメよッ…あなたはマルフォイ家の当主になる人間なの!私なんかのせいで…ッ」 必死にドラコを説得するジュリアに、ドラコは優しく微笑み短くなった髪を撫でた。 「僕はキミしかいらない」 アイスブルーの瞳が優しくジュリアを射抜いた。 「これからの僕には地位も、名誉も…何もない。こんな僕を、キミは必要としてくれるかい?」 ジュリアの耐えきれず瞳から、ボロボロと涙がこぼれ落ちる。 「…当たり前じゃない…、私も…ドラコしかいらないもの…ッ」 二人はギュッと抱き合い、互いの温もりを感じた。 「…小娘がッ…どうやって息子を誑かした!」 ルシウスがジュリアに掴みかかろうとするのをハリーが止めた。 「…親が子供の恋愛に口出しするのは不粋じゃないですか?」 「…ポッターッ…!」 ルシウスはハリーを睨み付け、反対側の杖を持っている腕を振り上げようとしたが、それを止めた。 「ドラコ…ッお前は…その女を選ぶのか。家も富も名声も、全てを捨てて。後悔はないのか」 低く唸るようなルシウスの声にドラコは怯むことなく、凛とした声で答えた。 「ジュリエットがいなければ、僕は生きながら死んでいるのと同じです。」 片手でジュリアを強く抱き締め、ドラコはルシウスを真っ直ぐに見つめて言った。 もうアイスブルーは揺れなかった。 「愚かな…息子だ。」 ルシウスはドラコを一瞥すると、医務室から出て行った。 誓い prev / next back |