「あー…、ドラコ、くん…」

アーサーは呼び辛そうに頭を片手でワシャワシャとかき、抱き合う二人を見つめた。


「はい」

対するドラコはピンと背筋を伸ばして真っ直ぐアーサーを見据えている。


殴られた頬が赤く痛々しい。


「その…」

「まぁ大変!はやく冷やさないと!」


モリーはもじもじするアーサーを突き飛ばして、医務室の戸棚から氷とタオルを呼び寄せドラコの頬に当てた。


「大丈夫?痛かったでしょう」

「あ、ありがとうございます…ミセス・ウィーズリー」


ドラコが戸惑いがちに名前を呼べばギュッとジュリアごとまとめて抱き締められた。


「そんな大人ぶらなくていいの!大変だったわね、気なんて使わなくていいわ!」


少し苦しそうにしながらも返事をしてるドラコに、周りから笑いが洩れた。


「モリー、今私が」

「アーサー!ジュリアが選んだ男の子ですよ!間違いなんてあるもんですか!」


「…間違いがあるなんて思ってやいないさ」


興奮気味のモリーを落ち着けて、アーサーは優しくドラコを見た。


「娘を、頼めるかい?」


その言葉にはズシリとした重みがあった。


「はい、ジュリアは僕が幸せにします」


アーサーはドラコの瞳を見て、柔らかく笑った。


”いい、瞳だ。”


ウィーズリー夫妻が医務室から出て行くと、皆二人の周りに集まった。


「ジュリア!どういう事だよ!なんでいまさらマルフォイが…ッ」

「「おっと、ロニー坊やそこまでだ」」

「だいたい二人を見てわかっただろ?」

「それにママがマルフォイを認めたんだ」

「「ママ言うことは絶対、だろ?」」

何やかんや双子はドラコを認めたらしい。

「「しかし、スリザリンに義弟が出来るなんて想像もしなかったな」」

「二人ともそれでいいのかよ!」

ロンは駄々をこねるように叫ぶ。

「「いいかい、ロニー。昔の言葉に」」

「人の恋路を」

「邪魔する者は」


「「馬に蹴られて死んじまえ!ってのがある。そういう事さ」」

「意味がわからないよ!!!」


叫ぶロンをハーマイオニーがど突いた。


「いい加減姉離れしなさいよ!双子だってマルフォイを認めてるのよ?」


「…ッハリー…!キミは、どうなんだい!」


ハリーは前と変わらない、優しい笑みを浮かべた。


「僕はジュリアが幸せで、笑っていてくれれば…それでいいんだ」


好きな気持ちは変わらない。

僕はジュリアを愛してる。


ジュリアが、幸せならいいんだ。


「ジュリア、おめでとう」


すべての事情を知ってるハーマイオニーは涙ぐみながらジュリアを抱き締めた。


「ありがとう…ハーマイオニー」


ジュリアは笑った。

綺麗に、美しく。


ドラコの側にいる彼女は、本当に綺麗に笑うのだ。


祝福される幸せ
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