ミステリアスガール


「クレオ!」

「あり、お兄ちゃんもいたの」

ズンズンと大股で近付いてくるフィンクスに少女はあちゃーと片手で頭を押さえた。



「この三年間どこで何してたんだよ、連絡もしねぇで…、しかも何だそのk」

「シャル兄、お兄ちゃんがいるなんて聞いてないよ」


少女はフィンクスを遮って不満そうにシャルナークを見つめた。

「だってクレオ、フィンいるのわかったら来てくれないでしょ」


ニコニコと笑うシャルナークをキッと睨んだ後、少女は観念し、諦めたのかフィンクスを見た。

「ずっとバイトしてただけだよ、それに念も前より発が増えたし…連絡しなかったのは反省するけど、もう私だって子供じゃないんだから大丈夫、ね?」



興奮気味のフィンクスを宥めるようにほんわかとした口調で説明し、確認を取るようにコテンと首を傾げた。


顔付きや身体は成長したみたいだが、こういった幼い行動は変わってないらしい。



「…俺はお前が無事ならいい」


フィンクスは安堵の溜息を吐き、ポンポンと優しく少女の頭を撫でた。


「えヘヘッ、お兄ちゃんの大きい手大好き」


へらりと少女は昔と変わらない無邪気な笑みを浮かべた。



「懐かしいオーラが一つ増えたと思って見に来て見れば…クレオ、お前か」

「クロ兄!久し振り」


クロロは少女を見つけると柔らかい優しい笑みを浮かべ、少女に近付いた。


「最近巷で噂の情報屋パンドラがまさかお前だったとはな」

「情報屋パンドラぁ?」


フィンクスだけが会話に入れず、クロロと少女を交互に見つめる。


「そう、最初はバイト感覚で始めたんどけどー…、何だか私に向いてるみたいだから続けてるの。お得意様も出来たし」


「パンドラの情報はハズレないからね」

「シャル兄はよく依頼してくれるし、身内の吉見で三割引だからね」

「助かるよクレオ」

「いいえー」


少女はへらりと笑う。

その場にいた旅団全員が少女の成長っぷりに息を呑んだ。



彼女クレオ、クレオパトラはこんなに女の魅力があったか?

髪が伸びたせいか…



「マチ姉、あのね!聞いて」


ニコニコとしながらマチと話す少女は紛れもなくクレオパトラだ。



クレオパトラ
団員フィンクスの妹。

実際は結成時メンバーのほとんどがクレオを自分の妹のように可愛がってる。


クロロから過去に何度も蜘蛛に入れと言われても断る謎めいた少女。

彼女がアジトにいるだけで、廃虚が明るくなる。

不思議な少女だ。


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