ハニートラップ大作戦


「いよいよ明日ね」

「う…マルチダ、私…」

「弱気にならない!」

「だって、…ドラコの周りの女の子達と比べると私なんて」

パチンと部屋に渇いた音が響くと同時にクロエの両頬はマルチダの両手によってムギュウッと押し潰される。


「む、まふひあ!むぐぐ!」

「”私なんて”ってのやめなさいよ!クロエ今まで努力してきたでしょ?」

「むぐ…」

「”私だって”にしなさいよ、ジメジメした女となんかマルフォイだってデートしたくないでしょ」

「う、…はい…」

手から解放かれショボンとなるクロエにマルチダは優しく微笑みかける。

「大丈夫、クロエは可愛いわ。それに飛び切りの美人!自信がないだけ」

「自信かぁ…」

「ほら、そうやって悩んでる暇があるなら腹筋!リンパマッサージ!半身浴!保湿パック!時間はもう限られてるのよ!」

マルチダに急かされながらクロエは教わった通り念入りに自分の身体をケアしていく。
確かにマルチダから教わった事をしてきて自分の身体に変化があったことには気付いた、まず肌が透き通るように白くなったしプルプル。顔も浮腫がとれてスッキリしてる。髪だってサラサラだ。

「クロエ、マッサージしてる最中はこれ咥えて」

「何これ?板?棒?」

「こういう細長いモノを咥えてると自然と笑顔が綺麗になるのよ」

「ふぁー、ありがとう!マルチダって物知りね」

言われた通り咥えてせっせとマッサージをするクロエにマルチダはビシリと指を向ける。


「女の子の最大の武器は笑顔と涙。使い分けるのがいい女。わかった?」

「はひ!(はい!)」

クロエはビシリと板を咥えながらマルチダに向かって敬礼した。

マルフォイとのデートまで残りは3日。

クロエは今までより一層自分を磨く事に専念することにした。


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