キミ温もりがとても愛おしくて


デート当日、待ち合わせの場所ギリギリまで緊張するクロエをマルチダが送ってくれた。


「私、変じゃない?」

クロエの今日の格好はいつもストレートな髪はマルチダがゆるく巻いてふわりふわりと可愛らしくセットしてくれた髪型に教わったナチュラルメイク、そしてマルチダ大絶賛の背中が少し見えるパステルピンクのワンピース。アクセサリーもゴチャゴチャ付けずに可愛らしいデザインのピンク真珠のピアスのみ。これもマルチダから教わった方法で男性はゆらゆら揺れるモノに目がいくらしいのでこのピアスも小さくだが動くたびに揺れる。


「馬鹿言わないの、今日のクロエは100点満点!」

マルチダにそう言われるとクロエはとても安心すると同時に自分の中に少しだけ自信が湧いてくる気がした。

「昨日言った事を忘れないでね!楽しんでらっしゃい」

マルチダに背中を押されてクロエは歩き出す。

「うん、頑張ってくるね!」

ニッコリ微笑んだクロエの笑顔にマルチダは不安なんて微塵も感じなかった。


*

「えっと、待ち合わせには少し遅れて行って…あ、もう10分?くらいたったしもういいかなぁ?」

クロエは深呼吸するとドラコが待っている待ち合わせ場所に小走りで近づいて行く。


「ドラコ!」

「クロエ…っ!」

今まで目を通していた本を閉じてマルフォイは遠くから駆け寄ってくるクロエに視線を向ける。瞬間ドクンと心臓が騒ぐ。何だか今日の彼女はとても可愛らしい。


【デートルールその1
待ち合わせは少し遅れて遠目から相手に自分を気付かせ駆け寄る姿を見せること(小走りがポイントである)】


「ゴメンね、待った?」

ふうっと息を落ち着かせながら少し上目遣いでマルフォイを見上げながら乱れた髪を耳にかけ直す。


【デートルールその2
相手と目を合わせる時間を10秒以上作る。髪を直す場合は反対の手で直す】


「…いや、少し早めについてたんだ。気にすることはない」

マルフォイは見つめられる事に赤くなりつつも誤魔化すようにさりげなくクロエの手を握り歩き出す。

「行こう、早くしないと混むからな」

「う、ん」

繋がれた手にクロエもほんのり赤くなり2人はゆっくり歩き出した。


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