悪魔と魔女


魔法は才能のようなもので、力の源である魔力は占い、呪い(まじない)にも大きく影響する。
魔女でも力の差が出来やすい所だ。
魔力があっても魔法が使えない不器用な魔法使いもいるし、その逆も然り。
才能や努力で補えないとき、大概は魔法のアイテムなど上手く使って力を上乗せたりするのだけど、他にもよくあるベタなところでは悪魔に魂を売って手っ取り早く力を手に入れる方法もある。
だが、科学や法が発展し比較的平和な世界に、魂を捧げるようなハイリスクで重い契約条件は古いし、あまり必要とされていない。
それでも魔女と悪魔は切っても切れない関係で、今でも交流は続いている。

「今日もお手伝いありがとうルージュラちゃん、すごくたすかった」
彼女がくるりと回ると、どういたしましてお辞儀をしてくれた。
「これお礼ね、前から欲しいって言ってたアクセサリーのリボンだよ」
ぱちん、と彼女の頭につけてあげたピンクのリボンは今回の契約の報酬となった。
ルージュラちゃんは満足そうで、くるりと一回転。
「また何かあったらよろしくね」
嬉しそうにうんうんと頷き、ジュララーン♪(ばいばーい)と手を振りながら魔界へと帰って行く。

悪魔との契約は昔と比べてハードルが低くなった。
現代悪魔との契約で主流なのは簡易契約。
簡単に言うと、悪魔がいいよと頷けばなんでもOK。契約完了
多少問題はあるものの、次第に悪魔も今のスタイルに慣れてきている

もちろん悪魔への願いに応じて報酬も比例するけど、ちょっとしたお願いをするくらいが現代ではメジャーなやりとりだ。
ちなみに私はあのルージュラちゃんと一番仲がいい。
今では仲良しになれるくらい魔女と悪魔の交流はグローバルなのです。だけど忘れてはいけないのは、悪魔はあくまで悪魔。
今のスタイルを気に入らない悪魔はまだ沢山いるし、力関係は昔と同じ。
持ちつ持たれつの関係に力のない魔女は簡単に喰われる。
その最たる例が私とインゴさんのはずだったんだけど、運がいいことに私は今生きている。

あ、インゴさんって言うのは

『こんにちはグルメTVのビミです。今回は超有名店のアップルケーキのご紹介です。林檎とクルミがたっぷり入った…―』
「ブラボーォォォォ!!」

こいつです。

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