novel | ナノ


誰からも思い出されなくなった時、人が死ぬならば、"池袋最強の平和島静雄"が死ぬのにかかった時間は、二年だった。

たった二年、それだけで彼の存在を口に出す人間はどこにも居なくなった。たまに、彼と親しかった者達が、彼の事を口にする。アイツは今頃元気でやっているのだろうかと。

そして、それ以上触れるのは、まるでタブーであるかのように口を閉じる。それを俺は、なんてくだらないのだろうと思っていた。本当の理由に気付かないわけではない。けれど、それを認めるくらいに俺は詰まらないーー言い方を柔らかくすると、優しい人間には、なれそうになかった。気遣ってもらっている、なんて笑ってしまうくらいに馬鹿馬鹿しい。けれど、聞かなかったふりをするくらいには俺は弱っていたのだ。愚かしい事に、たった一人のバケモノの消失で!




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