▼ふんわり、自分の頬に柔らかい感触がやってくる。例えるならマシュマロをあてがわれ、自分の体温で少し溶けたような、少しの粘液が頬に付く感触。

それと共に、両方からチュッと小さなリップ音が耳にこだました。

えっ、と一気に思考が真っ白になった途端、リップ音に釣られて薄らと目が開いてしまう。


「えっへん!」

「にへへ!」


そうしてゆっくりを瞼開けば、今度目に映ったのは、少しばかり頬を赤く染めてニンマリと笑う無邪気な子供たちの姿。


「えっ、えっ、お前ら今っ」

「いつもありがとうな、塑琉奈!」

「たまにはラクサスにもこうしてやれよ!」


ポカンっとした顔しか出来ない俺は、未だに状況が分からずに目を開いた後も開いた口が塞がらない状態で。

それにも構わずニンマリ笑顔のまま、子供たちは俺の頭をポンポンと軽く叩く。


えっ、えっ、とそんな二人を何度も見合わせ、不意に自分の頬に手を添える。するとじんわり、とまだマシュマロのようなそれの感触が、温度になって頬に広がっていく。

その感触と感覚で、やっと思考が動いたと同時、そこで自分が二人にキスされたんだと分かった。


「お、お…」


大きなお世話じゃコノヤロー!!!

プルプルと肩を震わせて、俺は先を行く子供たちへ向かって走り出す。

ぎゃー!きたー!なんて追い掛ける俺にそう叫びながらも、子供たちはどことなく嬉しそうに笑っていて。俺はそんなガキ共を捕まえて、抱き上げたり、上に投げたりと捏ねくり回してやる。


耳まで赤くなった自分の顔、帯びた頬の熱、それが冷めるまで俺は結局、子供たちに笑われたままだった。




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