▼「ラクサスー、手見せて」


ふと、塑琉奈が俺の背に声掛ける。なんで手?と思いながらも、彼女に従い「ん」っと差し出せば、塑琉奈はその俺の手に触れた。

それに、なんだ手が繋ぎたかったならそう言えよ、なんて少し頬を緩めていれば、また塑琉奈は声を上げた


「ラクサス生命線なげー!」

「あん?」

「ほら手相だよ、手相」


子供みたいにはしゃぎながらそう言う塑琉奈。俺はそれに一瞬ポカンっと間抜けな声を上げた。

どうやら塑琉奈はそれに気付いてないようで続ける


「人の手によってシワが違うんだって。んでそのシワってその人の人生の感じ表してるらしいぜ」

「ほう」


そして塑琉奈がまじまじと俺の手を見ながら、時折自分の手相と比べてる。なんだかそれが楽しそうで


「うわ、お前女運やべー、覇王線とかあんじゃん、きめぇ」

「何かわかんねぇのに馬鹿にすんな、てめぇはどうなんだよ」

「俺?」


少し気になって塑琉奈の手を取り、今度は俺が彼女の手のひらを見てみる。けれども案の定、何れがどの線か判らなくて、思わず舌打ちを溢す


「へへ、教えねー。」


そうして、塑琉奈はにんまり笑って俺から手を離す。なんだよ、少しは言ってもいいんじゃねぇか?なんて思っていれば、今度はぎゅうっと彼女の手が俺の手を握った。


「俺ら、結構長生きするね」


塑琉奈は嬉しそうに言葉を俺に掛ける。その言葉だけで、俺は少しだけ判って不敵に笑う


「当たり前だ」


そうして、塑琉奈の手を彼女よりも強く、ぎゅうっと握り返してやった



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