あおいかみの だんせい



「そういえば二人はポケモン像見に行ったか?」

「ポケモン像?」


ジュン君、コウキ君、私の三人で朝食をとっていた時。
私がハクタイシティに来た1番の目的であるポケモン像についてジュン君が尋ねてきた。


「私そのポケモン像見にハクタイシティに来たの!!」

「……あんたが昨日、オレの約束をすっ飛ばそうとした理由が分かったぜ」


中々察しがいいじゃない、ジュン君。


「だってシンオウ地方の神話について書かれているんだよね!? 私初めて聞いたときすっごい興味引かれて!」

「分かった、分かったから! これ食べ終わったら案内してやるよ!」


コウキも行くだろ?
ジュン君がそう問うと、コウキ君は「ボクも見に行きたい」と頷いた。


「楽しみだな〜、どんな像なんだろ?」

「本当に楽しそうだな、あんた」

「ねぇジュン君。そのあんた呼び止めない?」

「え。なんで」

「それじゃあ名前教えた意味ないじゃん」


実はずっと思っていたのだ。
私はまだ彼から一度も名前を呼ばれていない。


「そうだぞ。先輩トレーナーに対してあんたはダメだろ」

「別にそこは気にしてないんだけど、ただ名前覚えられてないのかなって思って……」


コウキ君の言葉に苦笑いをしてしまう。
そしてジュン君へ視線を移すと何故かムスッとしていた。え、なんで。


「……じゃあ、ナマエって呼べばいいのかよ」

「ジュン君が呼びやすいほうでいいよ」

「じゃあそれで」

「え、でも呼び捨てって……」

「私、そういうのはあまり気にしてないんだ」


やっぱり名前で呼ばれる方が嬉しいもの。
そう言うとコウキ君は少し困った表情で、でも納得した様に「分かりました」と言った。


「んじゃ、飯も食い終わったし、早速ポケモン像へ行こーぜ!」

「おーっ!」


ポケモンたちも丁度食べ終わったことだったようだ。
みんなをボールに戻した後、ポケモンセンターを後にした。


「ジュン君ジュン君! ポケモン像はどこにあるの!?」

「わーったから落ち着けよ。あっちだ、あっち!」


そう言ってジュン君は先頭を歩いた。
その後ろを私、コウキ君と追う。

ポケモン像どんなものなんだろう。
何が書いてあるのかな〜!?

そう思いながら着いていっていると、ジュン君が立ち止まった。


「どうしたの?」


ジュン君の後ろから様子を窺うと、ポケモン像があった。
しかし、その前に青い髪の男性が立っていた。


「……これがハクタイのポケモン像。この世界を形作るのは時間と空間の二重螺線。そして、シンオウに祀られるのは時間と空間のポケモン」


あの人が言ってることってもしかして……シンオウ神話について?
それともポケモン像に書かれていること?


「シンオウの神話……その真実を調べるべきか」


すると男性がこちらへ向かってくるではないか。
正面で見たその顔は無表情で、どこか怖い。


「……失礼。どいてもらおう」

「え、はい」


私とコウキ君が道を開けると、男性はジュン君と私達の間を通って去って行った。
確かに横並びに並んでいて邪魔だったのは認めるけど……何かその、上から目線だったのが嫌だなぁ。


「あっ!! 今ぶつかってオレ、すごいこと閃いちゃったよ!!」

「……どんなの?」

「最強トレーナーになる簡単な方法だよ!」


最強トレーナーねぇ……。
一体どんなものが閃いたんだろうか。


「いいか、よく聞けよ……。自分の技は全部当てる! 相手の技は全部躱す! そうすりゃ負けるわけない! 無敵のトレーナーだぜ!!」


お、おぅ…・・。
まあ確かにそれが出来れば無敵だろうね。できればだけど。

残念だけどそれが難しいのが現実である。
だって技を躱すには一定の素早さが必要だ。動きが鈍いポケモンがいるのが現状であるため、それは難しい。

そして攻撃を全部当てるについては、先程の技を躱すと逆だ。相手が早ければ躱されるから当たらない事がある。
なかなか難しいのよね、これが。


「よし! そうと決まれば特訓だー!! じゃーな、コウキ、ナマエ!!」


そう言ってジュン君はダッシュでその場を去って行った。
……考えたら即行動タイプなのね。


「……行っちゃった」

「そういえば、さっきの人どこかで見た事が……」

「そうなの?」

「はい。でもどこだったかは忘れちゃいました。そんなことより、ポケモン像見ましょう」

「そうだね!」


あの男性の事は忘れて、ポケモン像だ!
うきうきな気分を隠すことなく、ポケモン像へ向かう。
さーて、何が書いてあるのかなー……って。


「あれ……」

「これは……」


ポケモン像について解説があるだろうプレートを見たのだが、そこにあったのは剥がされた跡。


「えぇ……解説見たかったのに……」

「修理中とか?」

「それだったら修理中ですって看板ださない?」


ガクッと落ち込む私と、プレートがない理由を考えるコウキ君。
私の1番の目的、達成ならず……。





2021/12/20


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