しょうぶの ゆくえ
道中でポッチャマを使用するトレーナーとバトルはしたけれど、進化前と進化後は結構違うのだ。
そのトレーナーのポッチャマでどれくらいのステータスなのか自分なりに分析したけど、特に突飛したものはなかった。
強いて言うなら特攻が少し高めだった事くらいだ。
それらを踏まえると……特殊攻撃に気をつけた方が良いかもしれない。
水タイプ技は特殊技が多いから、受けたら痛いのは間違いない。
「ポッタイシ、”つつく”攻撃!」
つつく
飛行タイプの技だ。
モウカザルは進化して格闘タイプを持つようになったから、当然弱点が増えているわけで。
当たれば大ダメージを受けるのは間違いない。
「モウカザル!」
モウカザルは”みだれひっかき”の体勢を抑え、ポッタイシの攻撃を躱す体勢に入った。
素早さはこちらが上だったようで、身軽な動きでポッタイシを躱した後、背後から襲いかかった。
うっ、結構やることエグいね……。
でも、モウカザルの攻撃で蹌踉けたところを私は見逃さないよ!
「モウカザル、”マッハパンチ”!」
モウカザルの攻撃は連続でポッタイシに命中した。
どうやら動きが鈍い方らしい。
素早さだけならこちらの勝ち……と言いたいけど、もしかしてあまり効いていない?
まさか……耐久に優れている?
「ポッタイシ、”バブルこうせん”だ!」
「!」
広範囲に広がった泡。
それを躱そうとモウカザルは動き回るが、その隙を狙われ攻撃を受けてしまった。
「モウカザルっ!!」
あの威力と、モウカザルの消耗した姿をみると……やはりポッタイシは特攻が高いようだ。進化して更に伸びたって所かな。
防御面も高い事が分かったけど、弱点だった場合はもっとダメージを与えられるはず。
「モウカザル、動ける?」
私の問いかけにふらつきながらもこちらを振り返り、こくりと頷いたモウカザル。
その瞬間、彼の尻尾の炎が激しく燃えだしたではないか。
これは……特性もうかが発動している?
ならばこの状態であの技の威力がどれほど上がるのか見てみたい!
「よし。……モウカザル、”かえんぐるま”!!」
「ポッタイシ、”バブルこうせん”で応戦だ!」
炎を纏い、その状態でポッタイシに向かって突進していく。
ポッタイシのバブルこうせんがモウカザルに直撃するが、どうやら威力が炎に劣っているようだ。
「いっけーーーーッ!!」
私の声と共に、モウカザルの攻撃がポッタイシに激突した。
「大丈夫か、ポッタイシ!?」
よろめきながらも耐えたポッタイシ。
対するモウカザルは自身の特性により威力の上がった”かえんぐるま”の影響なのか、少しふらついている。
「向こうが特性で突っ込んでくるならこっちだって! ポッタイシ、”バブルこうせん”!」
先程より威力が上がった”バブルこうせん”がモウカザルを襲う。
恐らく先程のモウカザルの攻撃でかなり体力を持って行かれたんだろう。
ポッチャマの特性は”げきりゅう”。
偶に進化することで特性が変わるポケモンもいるけど、先程見た”バブルこうせん”より威力が上がっているのを見ると、やはり進化しても特性は変わらないのだろう。
「モウカザルっ!」
”バブルこうせん”を直で受けたモウカザルはその場に倒れてしまった。
「……お疲れさま」
モウカザルをボールに戻す。
そして取りだしたボールはルクシオのものだ。
「もうひと頑張りよ、ルクシオ!」
地面へ降り立ったルクシオは、私の声に苦しみながらも返事をした。
「互いに体力は同じ……。さ、ここで決着をつけましょ!」
「おう!」
ルクシオはまひ状態で動きが鈍くなっている。不利なのはこちらの方だ。
でも、有利タイプで言えばこちらが上だ。
「ポッタイシ、”バブルこうせん”だ!」
「ルクシオ、”スパーク”!」
ポッタイシの”バブルこうせん”を受けながらもルクシオは”スパーク”で突っ込んでいく。
そして、ルクシオの技がポッタイシに直撃した。
「……っ!」
発生する黒煙。
段々と薄くなり、そして晴れた。
「……ルクシオ!」
そこには痺れてふらつきながらもルクシオが立っていた。
ということは___私達の勝利だ!
思わず駆けて行き、抱きつこうと手を伸ばした。……が、躱されてしまった。
「まひ状態のポケモンに抱きつこうとするなよな……」
「だって嬉しくてつい……」
ルクシオもジュン君の言葉に同感なようだ。
私の抱擁を躱したのは私を危ない目に遭わせないためのようだ。なんて良い子……!
「さ、ジュン君! 約束通り朝ご飯おごってね! 勿論ポケモン達の分もよ!」
「はぁーーーーーっ!?」
「言い出しっぺは君からだよ」
「ぐぅ……分かった! 分かったよ!!」
こうして私達は朝食をとるため、再びポケモンセンターへ戻るのだった。
そこで朝食を食べてたコウキ君とばったり会い、「なんでボクも呼んでくれないんだよ!」と言われるのは別の話だ。
2021/12/20
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