シロナ
「おっと! そこの子供、ポケモン像には近付くなよ! ギンガ団が調べているからな!」
ポケモン像の前に立っていると、後ろから声を掛けられた。
そこにいたのは、見覚えのあるおかっぱの男性だ。
……って今、ギンガ団って言ったね。
昨日見たときはギンガ団なんて見かけなかったけどなぁ……。
まあ夜だったのもあって見えなかっただけかな。
「……絡まれると面倒ですし、離れましょうか」
「そうだね」
ポケモン像……プレートが戻ってきたらまた見れるかなぁ。
そう思いながらポケモン像から離れた時だ。
「ねぇ君達」
またもや後ろから声を掛けられた。
二人揃って振り返ると、そこには金髪の美人な女性が立っていた。
「持ってるそれ……ポケモン図鑑よね?」
「はい、そうですが……」
「ふふっ、やっぱり。何だか昔を思い出すな。あ、君達の名前、聞いてもいいかな?」
「ボクはコウキです」
「ナマエと申します」
「コウキ君にナマエさんっていうの。覚えておくわね!」
私達の名前を聞かれたけど、まだこの女性の名前を知らない。
一体誰なんだろう……。
「あぁごめんなさい、自己紹介していなかったわね。あたしは『シロナ』。ポケモンの神話を調べている物好きなトレーナーよ」
「ポケモンの神話についてですか!?」
「え、えぇ」
思わず食いついてしまった。
だってさっきポケモン像の内容を見ることができなかったから、つい……。
「このハクタイには大昔のポケモンを象ったポケモンの像があるの。君たち見たかしら?」
「はい」
「何でも、すごい力を秘めたポケモンだったって残されてる。君たちもポケモンを探していれば、そんなポケモンに出会うかもね」
そうだ、良かったらこれあげる
シロナさんが渡してくれたのは『いあいぎり』という技マシンだ。
「ありがとうございます!」
「いえいえ。ポケモン図鑑を埋めるのに役立ててくれると嬉しいわ」
じゃあ頑張ってね
シロナさんは私達の横を通り過ぎようとしたが、何か思い出したのかこちらを振り返った。
「あ、そうそう。ナナカマド博士によろしくね、トレーナーさんたち!」
シロナはそう言うと、今度こそ去って行った。
……って、あぁ!!
「神話について教えてくださいって聞けば良かった……!!」
「あ、あぁ……。そういえば神話について調べてるって言ってましたね」
「追いかければ……って流石に無理か……」
今度会ったら絶対に聞こう、絶対に!!
2021/12/20
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