ハクタイのもり
昨日に引き続きソノオタウンで一泊した私達。
朝のうちにポケモンセンターを発ち、ハクタイシティの前にあるという”ハクタイの森”を目指していた。
「それにしても、男の子ばっかりだなぁ」
何の話かと言うと、私の手持ちポケモンである。
流石にポケモンに対して男性意識とかはないけど。
道中トレーナーが沢山いてポケモンたちの特訓になった。
そして、新たに技も習得した。
モウカザルは”みだれひっかき”と”かえんぐるま”という技を、ルクシオは”かみつく”という技を、ムックルは”かげぶんしん”という技を覚えたのだ。
ハクタイの森の入り口に着いた頃には昼になっていた。
「ふぅ。ここらへんで昼食にしようかな」
少し開けた場所を見つけたので、そこで昼食を取ることにした。
ポケモン達のご飯を与え、自分用にとソノオタウンで買って置いた弁当を食べる。
「ポケギアに写真が撮れる機能があればいいのになぁ」
ポケギアの機能としては時計機能、電話機能、ラジオ機能、マップ機能がある。
しかし、ラジオ機能はシンオウ地方では機能しない。何故ならシンオウ地方にはラジオ塔がないらしいからだ。
あと、マップ機能も使えない。どうやらシンオウ地方ではポケギアはあまり使われていないらしい……。なのでマップカードも存在しないそうだ。
なので唯一使えているのは時計と電話機能だけである。
まぁ、遠くに離れているお母さんや最近は落ち着いてきたレッドと電話ができるのは助かる所だけどね。
「モウカザルー、ルクシオー、ムックルー。こっち向いてー」
じゃれ合っている3匹に声を掛け、カメラ目線を貰う。
いい絵だ。今が撮るチャンス!
シャッターボタンを押そうとした瞬間だった。
「あっ、ちょ……ムックル!?」
こちらに向かって飛んできたムックル。お陰でムックルの顔がブレてしまった……。
奥にいるモウカザルとルクシオもポカーンとしてるよ……。
「……さてはムックル、わざとやってない?」
私の言葉にムックルは明らかにギクッと身体を跳ねる。
そういえば初めて会った時もこんな感じだったっけ……。
「……まぁ楽しそうならいいけど」
結局の所、ポケモン達が楽しければそれでいいんだ。
何にも縛られない、彼らの好きなようにできているならそれで。
「じゃ、片付けが終わったら出発するからねー」
未だに遊んでいるポケモン達にそう声を掛けて、辺りの片付けを始めた。
***
片付けも終わり、いざハクタイの森へ。
入ってみると辺りは薄暗く、どこかトキワの森を思い出す。
そうそう、あそこにはたくさんの虫ポケモンが生息してて、最初びっくりしたんだよね。
あ、そういえばレッドのピカチュウはあの森出身じゃなかったっけ?違ったっけ?でも、ピカチュウといえばトキワの森ぐらいしか生息してないと思う……。
まあそんなことは置いておいて。
「わあ……!」
流石森と言うべきか。
至る所に見た事のないポケモンがいる。
初めに目に入ったのは、赤い身体につぶらな瞳をもつ可愛らしい虫ポケモンだ。
そのポケモンに図鑑を向ければ、自動的に流れる無機質な音声。
ふむふむ、あのポケモンは”ケムッソ”っていうんだ。カントーでいうキャタピーとかビードルと同じ幼虫ポケモンなのかな。
ということは進化するときはさなぎの姿になって、更に進化をすると成虫へと変わるはず。ケムッソはどんな姿になるんだろう?
そう思っていると、意外にも早く進化先を発見してしまった。
「”カラサリス”と”マユルド”……へぇ、2つの進化先があるんだ」
白い繭の姿をしている方がカラサリス、薄い紫色の繭の姿をしている方がマユルドのようだ。
棘のように見えるのは糸らしい。太陽の光に反射してキラキラと輝いているのでまちがいないだろう。
あれが蛹の状態であるならば、成虫の姿…進化した姿はどんな姿なのだろうか。
少し歩き回って探そうと思ったときだ。
「お、トレーナー発見!」
「俺たちと勝負しようぜ!」
麦わら帽子を被って虫かごを肩に掛けた2人の虫とり少年に声を掛けられた。
モンスターボールを構えている姿を見ると、ポケモンバトルをご所望らしい。
「分かった。いっておいで、モウカザル、ムックル!」
ボールを2つ取り出し、空へ投げる。
ポンッと音を立て出てきたモウカザルとムックルは気合いの入った声で鳴いた。
「いけ、”アゲハント”!」
「いってこい、”ドクケイル”!」
少年達が繰り出したポケモンを調べるため、図鑑を取り出す。
……あれ、もしかして。
「こんな短時間で進化系列すべて見ちゃうなんて……」
アゲハントとドクケイルはカラサリスとマユルドの進化形、つまりケムッソの最終進化形というわけだ。
苦笑いを浮べつつも図鑑をバッグにしまう。
彼らを待たせてはダメだ。
それに、この2匹もはやくバトルがしたくてたまらないみたいだし。
「さあ、始めましょ!」
2021/12/14
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