ギンガだんかんぶ マーズ



「子供に仕事の邪魔をされた……」

「子供のくせに強い奴は嫌い……」


ギンガ団の下っ端達を倒し、発電所の奥へと進む。
そこには赤く外ハネの髪の女性がコウキ君とポケモンバトルを繰り広げている所だった。

相手は見た事の無いポケモンを繰り出しており、コウキ君はモウカザルを繰り出している。
どこかニャルマーの面影があるポケモンに図鑑を向ける。


「ブニャット……ニャルマーの進化形なんだ」


一対一のバトル。
私は少し離れた場所でそれを黙って見届ける。


「あたしのポケモンに何するのさッ!! ブニャット、”ひっかく”攻撃!」

「モウカザル、”マッハパンチ”だ!」


あのブニャット、かなり育てられている。
先程の下っ端達が使っていたポケモンとは違う気がする。


「……そうか」


あの人はポケモンのことを道具だと思っていないんだ。
だって下っ端達は完全にポケモンを道具のように見ていたけど、あの人は違う。

さっきもブニャットがモウカザルの攻撃を受けたときに怒っていた。それもポケモンを大事にしているからこそ出てくる言葉だと思うんだ。


「あぁっ、ブニャット!」

「……勝ちました。約束通りにしてくれますね」

「分かってるわよ。ま、貴方とのポケモン勝負割と面白かったし、約束通りギンガ団はここから消えるわ」


幹部の女性はコウキ君からこちらに視線を向けた。
……鋭い目だ。そっちにいないでこっちに来いと言われているみたいだ。

隠れているつもりじゃなかったけど……コウキ君もこっちに気づいたし、移動しよう。


「もう一人の侵入者は貴女ね。この子と一緒に顔を覚えとくわ」


向こうにはもう敵意はない様に見える。
素直に引くというのは本当みたいだ。


「おやおや、子供に負けるとはの。まあいいさ、電気はたっぷりいただいた」


突如聞こえた声。
ギンガ団の幹部の女性の後ろから現れたのは、赤いサングラスをかけた老人だ。


「これだけあれば相当すごいことができるはず。ボスに認められるほどの天才プルートには分かるよ! さあさマーズや、ここは引き上げるとしよう」

「ウルサイわね! あたいに命令していいのは、この世界でボスただ一人なの!」


幹部の老人はプルート、女性の幹部はマーズって言うんだ。
これからのギンガ団の動きを気にした方がいいかもしれない。……とりかえしの着かない事になる前に。

喧嘩をする二人の幹部が下っ端達を連れて発電所を去って行くギンガ団。
やっと終わったことで、コウキ君のほうを見ると向こうもこちらを見ていた。

すると、奥の方にいた男性がこちらへ駆け寄ってきた。


「ギンガ団……とにかくポケモンやエネルギーを集めて宇宙を作り出すと言っていて、まるっきり意味不明でした」

「怪我とかはありませんか?」

「大丈夫だよ。君達には感謝の気持ちでいっぱいだ! やっと娘に会える!」


ソノオタウンで待っている女の子の父親である男性の無事を確認した時だ。


「パパー!!」


男性に飛び込んできた小さな影。
その正体はソノオタウンで待っているはずの女の子だった。


「それじゃあボク達はこれで」

「本当にありがとう、トレーナーさん!」


親子のやり取りに癒やされつつも、離ればなれにされていた二人の邪魔をしないよう、発電所を後にした。
外に出ると、茶色のコートを着用した男性がいた。

こちらに気づくと男性は駆け寄ってきた。


「おお、きみか。この発電所にギンガ団がいると聞いて飛んできたのだ! ……おや、このお嬢さんは?」

「初めまして。カントー地方から来ました、ナマエと申します」

「おぉ、カントー地方から! 遠い場所からはるばるシンオウ地方へ。私は国際警察の、名前は……いや、彼にはコードネームを伝えているから君にもそちらで自己紹介しよう。みんなからはハンサムと呼ばれているよ、よろしく」


どうやらこの方は国際警察のハンサムさんという。コードネームかぁ……私には想像できない世界のひとなんだろうな。


「それで、ギンガ団はどこへ?」

「あぁ、ギンガ団なら俺たちで倒しましたよ」

「それで、少し前に何処かへ行ってしまいました」

「何? トレーナーとはいえ、まさかあ……? よし、中を見てくる!」


そう言ってハンサムさんが発電所へ入っていく。
二人その場で待っていると、発電所のドアが勢いよく開き、ハンサムさんが出てきた。


「すごい、すごいな! 君の言ったことは本当だった。素晴らしい! まだ若くても一人前のトレーナーなんだな。よし! 私は逃げた連中を追いかけよう! 何でもハクタイにギンガ団のアジトがあるらしいのでな!」


では、と言ってハンサムさんは走り去って行った。
……国際警察の人って忙しいのかな。


「とりあえず、一件落着ですね」

「これでやっとソノオタウンを満喫できるよ……」

「ははっ。ではまたここでナマエさんとはお別れですね」

「うん、次に会ったときこそはバトルしよっか」


コウキ君はもう出発するようなので、彼とはここでお別れだ。
さて、ソノオタウンに戻りますか!





2021/12/14


prev next

戻る














×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -