しんじんトレーナー コウキ



コトブキシティにつき、ポケモン達を回復させて貰った後にフレンドリーショップで必要な買い物を済ませ、次の買い物は……。


「ほー、これがポケモンウォッチ……。略してポケッチ」


腕に付けた時計ことポケッチを見る。
私が買ったのは、ヒカリちゃんが付けていたものと同じガールズモデルのポケッチだ。
デジタル時計、電卓、メモ用紙に万歩計等と、様々なアプリが入っている。
ポケギアにはない機能もあるし、これはこれで持ってて問題ないだろう。


「さて、クロガネシティはー……っと」


先程購入したタウンマップで自分の位置を確認し、クロガネシティまで道のりを確認する。
203番道路を進んだ先にあるクロガネゲートを抜けたらクロガネシティのようだ。道のりも思ったより遠くなさそう。


「よし、今日にはクロガネシティに着けるかも」


思い立ったら行動だ。
預かって貰っていたポケモン達を受け取った後、ポケモンセンターを発つ。
すっかり定位置になってしまったのか、ヒコザルは勝手にボールから出て私の肩に乗る。

203番道路へと足を踏み入れた瞬間、


「……ヒコザル?」


こちらへと向かってきたポケモンを見て、そう口を出した。
そう、目の前にはヒコザルがいるのだ。
肩に重みがあるので私のヒコザルではない。……じゃあ、野生のヒコザル?


「ヒコザル〜!!」


……と思ったのだが、どうやら誰かのヒコザルだったようだ。
前から走ってきたのは、赤いハンチング帽子を被った男の子だ。


「すみません、ボクのヒコザルが……」

「いえいえ、見つかってよかったです」


膝に手を置いて息を整えている少年にそう声を掛ける。
と、ヒコザルが肩から飛び降りた。
そして少年のヒコザルと楽しそうに会話をし出したのだ。


「……あの、そのヒコザルとはどこで?」

「あ、ナナカマド博士から譲って貰ったんです」


少年にそう話すと、彼は目を見開いた。


「じゃあそのヒコザルは、ボクのヒコザルの弟ですね!」

「……え?」


ニコッ、と笑いながらそう言った少年の言葉を理解するのに少し時間がかかってしまった。
……どうやら少年のヒコザルは私のヒコザルのお兄さんらしく、2匹は兄弟のようだ。
それが本当なら、この仲も納得がいく気がした。


「あ、名乗ってなかったですよね。ボクは『コウキ』って言います!」

「君がコウキ君か!ヒカリちゃんとナナカマド博士から聞いてるよ。私はナマエ。よろしくね」


互いに握手をし、自己紹介をする。
彼が、ヒカリちゃんとナナカマド博士が言っていた新人トレーナーの一人、コウキ君だ。
ヒカリちゃんと同い年らしい。


「まさか、ヒコザルにお兄さんがいたとは……」

「博士が言うには、双子の兄弟みたいですよ」


ポケモンも私達人間と同じように、同じポケモンでも見た目に差があるような所があるらしく、自分のポケモンがどちらなのかすぐに分かっていた。
が、流石双子だと言うべきか。この双子ちゃん(ヒコザル)はわかりにくい。


「……兄弟かぁ」

「ナマエさんにも兄弟がいるんですか?」

「ううん、故郷の幼馴染の事を思い出してね」


……誰のことかというと、カントー地方を出る前に会えなかったもう一人の幼馴染の事だ。
彼には上に『ナナミ』という名前のお姉さんがいるので、弟というポジションである。
自分のヒコザルが弟だと言うこともあって何故か彼奴の顔が浮かんだ。
聞いた話では、トキワジムのジムリーダーに就任したらしいけど……。まさかジムリーダーになっていたとは。


「ナマエさんはシンオウ地方出身じゃないんですか?」

「うん。私、カントー地方出身なんだ」

「カントー地方!?遠い所から来たんですね……!」


カントー地方とシンオウ地方はかなり距離が離れている。
だが、故郷のお隣であるジョウト地方とは何かしら関係があるらしい。ミオシティの図書館で見た書物にそう記されていた。


「やっぱり、ジム制覇でシンオウ地方ここへ?」

「いいや、ただの地方巡りだよ」

「地方巡り……!面白そうですね!」

「そうなの。オーキド博士の紹介でシンオウ地方に来たんだけど、ナナカマド博士からジムに挑戦しないかって言われて……。折角来たんだしジムに挑戦してみるつもり」


そう、最初はジムに挑戦する気はなかったのだ。
でもカントー地方では8つ全てのジムを制覇してるし、自分の実力が他地方に通用するかどうかは気になるものである。

だからナナカマド博士の言葉に頷いちゃったんだよね。


「ボクもジムに挑戦するんです!あ、良かったら一緒にクロガネシティに行きませんか?」

「いいの?なら、同行させて貰おうかな」


こうしてコウキ君と一緒にクロガネシティに向かう事になった。





2021/10/01


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