ライバルいしき?
カントー地方からシンオウ地方に来るときに持ってきていたきのみをコリンクに与える。
オレンの実という体力を回復させる効果のある木の実だ。
コリンクに差し出すと、クンクンと匂いを嗅いだあと、恐る恐るといった様子で一口囓った。
少しの間咀嚼したあと、もう一口と食べ出した。嫌いな味ではなかったようだ。
「君、強かったよ。ヒコザルも戦えて嬉しそうだったし」
隣にいるヒコザルにもオレンの実を与える。
コリンクは大人しくオレンの実を食べている。
「じゃあねコリンク」
未だにオレンの実を食べてるヒコザルを肩に乗せて、コトブキシティの道のりを再開する。…しようとした。
「?」
後ろから聞こえた可愛らしくも少し棘のある鳴き声に振り返る。
その声の主はコリンクだった。
「……もうバトルしないよ?」
こちらを睨むように見つめるコリンクにそう言う。
こちらをじっと見つめるコリンク。…いや、正確には私ではなくヒコザルを見ている。
ヒコザルの方に視線を移すと、口をモグモグさせながらコリンクを見つめている。
この見つめ合いが何を意味しているのか。私には分からないよヒコザル。
「えっ、ヒコザル!?」
急に私のバックに手を突っ込んだヒコザル。
木の実が欲しいならまだあるし、欲しいならあげても……。
「……モンスターボール?」
ヒコザルがバックから取り出したのは、なんとモンスターボールだった。
……もしかして。
「一緒に行きたいの?」
コリンクにそう問えば可愛らしい声で返事をした。
……返事をした後にヒコザルを見つめたので、もしかしたらヒコザルに何かしらの感情が芽生えているのかもしれない。
「よし、なら一緒に行こう!」
ヒコザルからボールを受け取り、コリンクの元まで歩いて屈む。
モンスターボールをコリンクに優しく当てると、コリンクはモンスターボールに吸い込まれていった。
私の手の中で揺れるボール。
そしてそのボールはカチッと音を立てて停止した。
「まさか、こんな形で仲間が増えるとは……」
苦笑いしながらも、新しい仲間に私は喜びを隠せなくて。
ボールからコリンクを出し、目線を少しでも近付けるため屈む。
「これからよろしくね、コリンク」
私がそう言うと、ちょっと照れくさそうにコリンクは返事をした。
……因みに後から分かったことだが、コリンクはオスだった。
可愛い顔をしていたからメスだと思ってたんだけど、どうやらヒコザルを気にしていたのはその強さに惹かれたからのようだ。
もしかして、ヒコザルに対してライバル意識を持ってる?
だから一緒に来たかったのかな?
「これは成長が楽しみだ」
自然と頬が緩むと同時に、2匹がどこか幼馴染に似ているような気がした。
2021/10/01
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