もうひとりの しんじんトレーナー ジュン



「ナマエさんのバトルする姿を見て、色々学びたいです!」


そう言ったコウキ君の為、丁度良く対戦を申し込んできたトレーナーとバトルをする事に。


「君より少し早くトレーナーになっただけで、学べることなんてないと思うけど……」

「カントー地方のジムを制覇している人が何を言ってるんですか!絶対勉強になります!!」


こんな熱烈に言われると照れるけど、嬉しくも思うんだよね……。
ならば良い所を見せなきゃ!


「いけムックル!」


相手トレーナーはムックルを繰り出した。
えーっと、さっき図鑑で確認した情報によると……ムックルはノーマル・ひこうタイプ。
ヒコザルを出しても良いけど、ここは先程仲間になったあの子にしよう。


「ヒコザルはお休みよ。んじゃ、貴方の実力見せて貰おうかな!コリンク!!」


ポンッと音がなり、飛び出してきたのはコリンクだ。
コリンクは可愛らしい声で一鳴きし、フィールドに降り立った。


「コリンク、“たいあたり”!!」


コリンクはムックルに向かって突っ込んでいき、見事技を成功させた。
相手のムックルは攻撃のダメージが残っているのか、動きが鈍くなっていた。


「さぁ、このチャンスを逃がさないで!もう一度“たいあたり”よ!」

「反撃だ!ムックル、“つばさをうつ”攻撃!!」



***



「本当にコリンクを使うの初めてだったんですか?」

「そうだよ」


対戦相手の少年に勝利し203番道路を後に、現在クロガネゲートと呼ばれる洞窟をコウキ君と共に進んでいた。
先程山男から『いわくだき』の技マシンを貰ったんだんだけど、もう持ってるんだよね……。
カントー地方で貰ったものなんだけど、シンオウ地方にもあるんだ。

因みにコウキ君は持っていなかったようで、山男からいわくだきの技マシンを貰っていた。


「すごいなぁ、ボクもナマエさんみたいなトレーナーになれるかなぁ」

「私がすごいかどうかは良いとして……。ポケモンを愛してるのなら、絶対凄いトレーナーになれるよ!」


ポケモンとの間に必要なのは絆。それがあれば絶対に強くなれる。
だって、私の幼馴染はジムリーダーとチャンピオンになったんだから。

……もう、その背中に追いつく事はできないだろうけど。


「あ、出口が見えてきましたね!」

「うん!」


さて、クロガネシティはどんな所なんだろうか。
暗い場所から明るい場所へ急に出たことで視界がチカチカしていたが、暫くすると目が慣れてきた。
改めてクロガネシティを見ようと辺りを見渡した。


「わあ……!」


クロガネシティは一言で言うなら炭鉱って感じの町だった。
購入したタウンマップによると、天然資源に恵まれたエネルギーみなぎる炭鉱町と書いてあり、第一印象で炭鉱って感じたのは間違いではなかったな。

どうやら炭鉱に関する博物館があるらしい。後で行ってみようかな。


「オッス!トレーナーズ!」


トレーナーズというのは私達の事だろうか。
コウキ君と一度顔を合わせて、話しかけてきた少年に視線を移す。


「君達もしかして新人トレーナー?」
ボクはそうだけど、隣にいるこの人は違うよ」

「トレーナー歴2年だけどね」


まだまだ新人トレーナーのうちだと思うけどなぁ。
人それぞれの認識があるから、どう思われたのかは分からないけど。


「ほうほう。じゃあ君はもうここのジムには来たことあるって事?」

「ううん、シンオウ地方に来たばかりだから違います」

「という事は、二人ともここのジムに挑戦しに来たんだな!なら、ポケモンジムまで案内してやるよ!」


どうやらクロガネシティにあるポケモンジムまで案内してくれるらしい。お願いなんてしてないけど、なんて言ってはいけない。相手の厚意はありがたく受け取らなくちゃ。

少年の厚意に甘え、ポケモンジムまでの道のりをコウキ君と共に歩いて行く。


「あっ、あれがクロガネシティのジム?」

「そうだよ〜…って、あれ?ジムの前に誰かいる」


少年の言う通り、ジムの前には金髪の少年がいる。
金髪の少年はこちらに気付いた瞬間、すごい早さで私達の目の前に移動してきた。
いや……正確には。



「コウキ!!今頃クロガネに到着か?相変わらずおっせーな!!」

「ジュ、ジュン……近い近い」



コウキ君の目の前に移動してきた、である。
どうやらこの金髪の少年は『ジュン』というらしく、コウキ君の知り合いのようだ。

……ん?数時間前に聞いた新人トレーナーの二人ともうエンカウントしたって事?
意外と世界は狭かった。




「ん?コウキ、この人誰だ?」

「この人はナマエさん。ボクたちにとっては先輩トレーナーだよ」

「ナマエです、宜しくね」


コウキ君に紹介され、ジュン君に自己紹介をする。
ジュン君はジーッと私を見た後、興味が無くなったのか視線をコウキ君に移した。


「所でジムに挑戦しに来たのか?」

「うん」

「ならタイミング悪かったな!ジムリーダーなら炭鉱に行っちまったぜ!」


どうやら現在ジムリーダーは不在らしい。
これはすれ違っちゃったって奴か……。





2021/10/01


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