あ! やせいのコリンクが とびだしてきた!



マサゴタウンから北に進むと、202番道路に出る。

ちらほらとトレーナーがいて、何度か勝負を挑まれた。因みに全勝である。
ここら辺は新人トレーナーの修行場所なんだろう。カントー地方にもそんな場所があった。


「しかし……」


先程バトル中に見かけたポケモンが気になって仕方ない。
青色の可愛らしいポケモンだ。

だがその目付きはとても鋭く、可愛らしい姿をしているのに警戒しているのか、少し怖かったのを覚えている。
図鑑を向けて名前を見ようとしたのだが、こちらと目を合わせると逃げてしまったのだ。


「うーん、少しここら辺を歩き回ってみるか」


もしかしたら近くにいるかも知れないし。
それに新しい場所なんだし、ゆっくり時間をかけて回ろう。
特に焦る用事があるわけないし。


「あ、君!ポケモン連れてるよね!」

「え、はい」

「ポケモン勝負しようよ!」


話しかけてきたのは、短パンに帽子を被った動きやすい格好をした少年だ。
……まあ、断る理由もないし。


「勿論!ヒコザル、出番だよっ!」



売られたバトルは買いますとも。
今は経験を積ませたいからね!

モンスターボールを投げ、そこから出てきたのはヒコザルである。


「いっけぇ!コリンク!」


少年が繰り出したのは、『コリンク』と呼ばれたポケモンだ。
……ん?あれ、このポケモンさっき見かけたポケモンだ!

図鑑を向けると、簡単な情報が登録される。
もしかしたら、この辺りにいるのかも知れない。あとで確認しよう。
まずはバトルに集中しないとしね!


「さ、行くよヒコザル!“ひのこ”!」



***



先程バトルを少年に『コリンク』について教えて貰い、どうやらこの辺りに生息しているようだ。
折角図鑑があるのに人に聞く私って……。


「よし、あのコリンクってポケモンをゲットする! ヒコザル、協力してくれる?」


私の肩に乗っているヒコザルに問うと、笑顔で返事してくれた。


「さて、この辺りを探索するとして…お?」


草むらの方へ足を進めようとしたら、視界に揺れる草むらが。
何かいるな。……ポケモンかな?


「ヒコザル、いつでも戦闘出来るように構えておいてね」


私がそう言うと、ヒコザルは頷いて警戒態勢に入る。
威嚇の声だろうか、いつもの高くて可愛らしい声が低い。


「っ! 来る、ヒコザル!」


私がそう言うと、ヒコザルは肩から飛び降り、地に立った。
そして、草むらから飛び出してきたのは……


「! コリンクだ!」


お目当てのコリンクだ。
……ん、あのコリンク。まさか、さっき見かけた少し怖いコリンク!?

現われたコリンクは、威嚇するような声を出してこちらを睨んでいた。
そして、こちらへつっこんできた。……バトル開始だ!


「っ速い!」


先に攻撃を仕掛けてきたのはコリンクだ。
全速力でヒコザルに向かってくる。


「ヒコザルッ!」


ヒコザルは躱せず、攻撃を受けてしまう。
凄い威力だ。攻撃力が高めのポケモンなのだろうか。


「ヒコザル大丈夫!?」


私の言葉にヒコザルは「平気だ!」と言いたげに返事した。
……その表情、燃えてるね。やはりバトルが好きなようだ。

それに、あのコリンクも何処か楽しそうだ。
私の指示で攻撃をするヒコザルの技を躱したり、偶には命中したり。
立ち上がった時の表情が、「もっと来いよ」と言いたげで、挑発しているように見える。


「もしかして、ヒコザルと戦いたくて……?」


因みに202番道路に来て、トレーナーと4人バトルを申し込まれたので受けたのだが、ヒコザルはあっさりと勝った。
それに加え、野生のポケモンとの戦闘も何度かあったのに、あれほど元気とは……。


「これは、戦闘狂って奴かな……」


ヒコザルにそう言うと、首を傾げてこちらを不思議そうに見つめていた。
いいや、褒めているんだよ。


「さあ行くよっ!ヒコザル、“ひのこ”!」


私の指示通り、ヒコザルが“ひのこ”を繰り出した。
コリンクは躱しながらヒコザルに向かってくる。これは再び“たいあたり”かな?


「ヒコザル、ジャンプ!」


私がそう言うと、ヒコザルはその場で飛ぶ。___コリンクの上をとった!


「そこで“ひっかく”攻撃よ!」


驚いたコリンクに向かって落下し、ヒコザルが攻撃する。
うん、命中!

ヒコザルはアクロバティックな動きをバトル中によくやっている。
それを生かした指示を私が出す。


……私、上手くポケモンを扱えてるかな。
脳裏に浮かんだ幼馴染二人にそう言ってみたけど、勿論返事は返ってこなかった。


「……気絶、してるね」


確認するため、近づくとコリンクは目を回して気を失っているようだ。
しかし、ここで放置していく訳にもいかない。


「どうしよっか…」


私がヒコザルを見ながらそう言うと、コリンクが唸り始めた。
視線をそちらへ向けると、ゆっくりとした動作でコリンクが起き上がった。

ヒコザルが話しかけにいったので、それを黙って見ている。
……こういう時、ポケモンの言葉が分かったら良いのにな、と思うんだよね。





2021/09/24


prev next

戻る














×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -