シンオウちほうと ヒカリ
下船して、港を出る。
この町は『ミオシティ』というらしい。
「この町で確か、待ち合わせのはずだよね……?」
港を出て、私はキョロキョロと辺りを見渡す。
確か、話ではナナカマド博士の助手が待っているって聞いたんだけど……。
歳は私より下で、女の子らしい。因みにあまり年齢差はないそうだ。
「あれ、図書館がある」
少しブラブラと町を探索していると、図書館が目に入る。
でも、待ってないと相手に迷惑だし……。
だけど、シンオウ地方の図書館ということは、この地方についての資料が置いてある事は間違いないだろうし……。
実は、地方巡りに目覚めた後に、図書館へ足を運んで他の地方について調べる事もあった。
最初はジョウト地方に行くつもりだったので、ジョウト地方についての資料しか読んでいない。
なので、今の私はシンオウ地方についての資料があるあの図書館へ行きたくてたまらないのだ。
「……10分待ってこなかったら行こう。うん」
欲に負け、私が謎の決断を呟いた瞬間。
「すみませーん!ちょっといいですかー?」
声のした方へ振り向く。
視界に入ったのは、私に向かって走ってくる可愛らしい少女だ。
少女の後ろからは見たことのないポケモンが着いてきている。
「はい。何でしょうか?」
「あの、人を探していて…って! もしかして、貴女がナマエさんですか?」
「え、そうですけど……」
女の子の口から私の名前が出る。
……もしかして。
「やっぱり!私、ヒカリといいます!ナナカマド博士の助手です!」
「貴女が! 知っているみたいですけど、一応名乗っておきますね。カントー地方のマサラタウンから来ました、ナマエです。宜しくお願いします」
彼女が聞いていたナナカマド博士の助手で、『ヒカリ』さんと言うらしい。
私も改めて自己紹介をする。
「私の方が年下ですし、敬語外して貰っていいですよ!あと、呼び捨てで大丈夫です!」
「分かった。ヒカリちゃんって呼んでいいかな?」
「はい!」
本人からの希望で話し方と呼び方を変えることに。
……笑顔が可愛い。
「所で、図書館を見てましたけど……」
「ああ、シンオウ地方についての資料を読みたくて」
「じゃあ行きましょう!」
「え、でも」
「博士については私に任せて下さい!」
「さあ行きましょー!」と言って、私の背中を押すヒカリちゃん。
折角なのでその言葉に甘えることにし、図書館の方へ歩き出した。
……本当に大丈夫なのかなぁ。
2021/08/11
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