対 秋葉名戸学園



「これ、目金さんが行きたかっただけでしょ……」

「何か言ったかな、苗字君」

「い〜や〜?メイド喫茶初めて来たな〜って思っただけ〜」


目金さんがメガネを光らせながらこちらを見る。
まさか聞こえていたとは思わなかったので、急いで適当な嘘を吐いた。

周りが制服で来ている中、僕だけさっきの格好である。
何でなのかって?だっていちいち着替えるの面倒じゃん。


「お帰りなさいませ、ご主人様!」


メイド喫茶の入り口…自動ドアが開き、現れたのはメイド服を着た女性3人。
ふーん、悪くないね。
ちらっと周りを見ると、顔を赤くしている人、ボーッとその光景を見ている人…と、様々な反応だ。
ふふ〜ん、男子って結構分かりやすいねぇ。


「13名様ですね!こちらにどうぞ!」


ツインテールのメイドさんがそう言い、店内に案内される。


「へぇ、結構可愛い格好してるじゃん。ね、風丸さん?」

「随分落ち着いてるな……メイド喫茶に来たことあるのか?」

「ないけど?」


隣に座っていた『風丸 一朗太』さんにそう声を掛ける。
落ち着いてる僕を見て、そう問うてきた風丸さんにそう返した。
だって僕女子だし、可愛い格好してるね〜くらいにしか思わない。


「しっかし、顔を真っ赤にして可愛いね〜?キャープテン?」

「お前平気なのかよ…」

「なんともないですけど?あ、お姉さーん!」


ジト目で僕を見る風丸さんから目を逸らし、メイドさんを呼ぶ。


「如何致しました?」

「僕喉渇いちゃった。おすすめのドリンク頂戴?」


メイドさんを呼んだら可愛らしい笑みを浮かべて近寄ってきた。
僕の注文の言葉に返事をした後、メイドさんは準備の為なのか奥の方へと消えていった。


「苗字君……!メイド喫茶に来たことあるんですか!?」

「ないってさっき言ったじゃん」

「じゃあ彼女でもいるのか?」

「いないけど?」


隣にいた半田さんがそう言った。
いや僕女なんだけど。まあ、いちいち言うのも面倒だしいいや。
てか目金さんが「リア充…!!」って言いながら僕を睨んでくるんだけど。


「君、見所あるね」

「? 君達は……?」


突然目金さんに話しかけたのは、身体が大きい男の人。
隣には細い男の人がいる。
今のどこを見てたら、目金さんに見所があったんだろ……。


「君に見せたいものがあるんだ。着いてきたまえ」


見せたい、ものとは。
なんだろう、と思いながらサッカー部のメンバーと共にエレベーターに乗った。





2021/02/19


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