対 秋葉名戸学園



「これは行ってみるしかないようですね…、メイド喫茶に!!」


後ろから聞こえた目金さんの声に皆が振り返る。
僕は壁山の背中にもたれながら目金さんをジトッと見る。
周りからは「はぁ〜?」という呆れた声があがった。


「秋葉名戸学園とやらが、あの強豪、尾刈斗中を破ったのにはきっと訳があるはず。僕にはそれがメイド喫茶にあると見ました」


そう言いながら目金さんは円堂さんに近づく。


「行きましょう!円堂君!」

「で、でも…っ」

「僕達は、秋葉名戸学園の事を何も知りません。これは……、これは試合を有利に進める為の『情報収集』なのですよ!」


胸を張りながら笑顔でそう言った目金さん。
……この人、メイド喫茶に行きたいだけだな。絶対そうだ。
てか、円堂さん納得しちゃったし!?
目の前にいる人はどうみてもメイド喫茶に行きたいだけだよ!?なんで気付かないの!?鈍感なの円堂さんは!?


「よし!行ってみようぜ!」

「マジかよっ!?」


円堂さんの言葉に松野さんが驚きの声をあげる。
そりゃあ驚きますわ……円堂さん鈍すぎ……。


「キャプテンさん、メイド喫茶って所分かってんのかな……」


そう思いながら、出て行くメンバーの後に着いて行こうとした瞬間。
肩に何かが触れたと同時に声を掛けられた。


「ちょっと?」

「ん?……ああ、雷門夏未か」

「いい加減フルネームで呼ぶのやめてくれるかしら?」


僕の肩を掴んで、足を止めさせたのは雷門夏未だ。
仁王立ちでこちらを見つめる雷門夏未は僕からの呼ばれ方にかなり不満そうだ。


「じゃあなんて呼んで欲しい?夏未ちゃん?」

「先輩にその態度……ましてやこの私に対してその反応、無礼よ」

「わー、本当にお嬢様って感じー」


その言葉に棒読みで感激してる事を言うと、雷門夏未は溜息を着いた。


「練習後、理事長室に来なさい」

「なんで?」

「話があるからよ」

「ふーん、そう。分かった」


雷門夏未の言葉に頷き、出て行ったサッカー部達を追いかけた。





2021/02/18


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