対 ジェミニストーム
グラウンドの周りにはテレビ中継が行われているのか、カメラが見える。
それに地元の人も見に来ているようだ。
「……」
どうしても僕はジェミニストームと呼ばれたエイリア学園のチーム……その中でも、キャプテンだという、リュウちゃんに似た人物が気になってしまう。
「苗字!」
「え? は、はい!」
「お前はMFに入ってくれ!」
「わ、分かりました……」
「チャンスがあったら攻めに行ってくれ。お前と吹雪の速さがエイリア学園にどこまで通用するのかも知りたいしな」
「あ、あっははは……。はい、頑張ります」
円堂さんと鬼道さんの言葉に、僕は普段通りに返せていただろうか。
「吹雪、頑張ろーぜ!」
「”エターナルブリザード”で奴らをバシバシ吹き飛ばして欲しいでヤンス!」
みんなの注目が吹雪さんに向いた。
僕はまた、ジェミニストームの方を見ようと振り返った。
「!」
さっきまでは誰1人とも目が合わなかった。
なのに今___あの少年と目が合った。
「……前の試合では見なかった顔だな、人間」
「!」
話しかけられた!
動揺していることがバレない様に、口を開く。
「今回から君たちエイリア学園との試合に参加したんだ。知らなくて当然かもね」
「それは違うな、”光のストライカー”」
「!!」
今、レーゼは僕の異名を口にした……!?
僕の事を知ってるの……?
そう思ったら、どんどん期待が高まってしまった。
さっきの諺。
僕を知っているという発言。
何よりも___その顔が似ているんだ。
だから、つい出てしまったんだ。
「ねぇ……。もしかして___リュウちゃん?」
ずっと思っていた事が。
「リュウちゃん? 誰の事だ」
「!」
「私の名は『レーゼ』だ。覚えておけ、人間」
だけど、それは違って。
僕の言葉ははっきりと否定されてしまった。
……やっぱり、似ているだけで違うのかな
エイリア学園は本当に宇宙人なのかな
なのに、レーゼがリュウちゃんに似ていることが頭から離れない。
僕の、気のせいなのかな___
「苗字!」
「ひゃい!?」
「円陣を組むぞ、お前もこい!」
「は、はいっ」
円堂さんに呼ばれ、僕は円陣の輪に入る。
「やるぞ。今度こそ、エイリア学園の侵略を阻止するんだ!」
「「「おうッ!!!」」」
円陣を終えた後、僕はグラウンドに入って自分のポジションへ向かった。
「……ごめん」
……後ろから投げられた小さな謝罪の言葉気づかないまま。
2021/11/14
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