参戦! 光のストライカー
「無事見つけられたようね」
「監督!」
雷門イレブンのみんなに囲まれている女性に向かって走る。
そして___抱きついた。
「こうして会うのは久しぶりね___名前」
「久しぶりっ、瞳子姉さん!」
僕と瞳子姉さんが感動の再会を交わしていると……
「「「えええええぇぇぇッ!!!?」」」
という雷門イレブンの叫び声が河川敷で響いた。
***
「実は小さい頃お世話になった人なんだ」
「じゃあ監督と苗字は知り合いなんだな!」
「知り合いにしては懐きすぎじゃ……?」
僕と瞳子姉さんの関係を簡単に説明する事になった。
「僕、小さい頃に親が死んじゃって……。預けられた孤児院が瞳子姉さんが経営している所だったんだ〜…………って」
何々?なんでこんなに暗い雰囲気なの!?
「名前っ!私、貴女がそんなだって知らなかった……!」
「……なんで春奈が泣いてるんだよ」
抱きついて来た春奈は瞳に涙を溜めていた。
……どうして君が泣くんだよ。
「正直、親の顔は覚えてないんだ。だから悲しいとかそういう感情は分からない。でも、心配してくれたのは嬉しい。ありがとう」
ていうか、僕は瞳子姉さんとの出会いを話したはずなんだけど!?
君等って感情の変化が激しいよね……。あれ、これって僕の方が可笑しいのかな。
「名前。許可が下りたわ。改めてキャラバンに乗ってくれないかしら」
「! ……ほんと?」
「ええ。後で電話しておくのよ?」
「ありがとう、瞳子姉さんっ」
「え?どういう事??」
あ、円堂さん達は知らないか。
ちゃんと話しておかないと。
「実はキャラバンに参加するの、反対されてたんだ。でも、瞳子姉さんが説得してくれたみたいでこうして参加出来る事になったの!」
「そうなのか!お前と一緒にサッカーできるの嬉しいぜ!」
僕も嬉しいよ、円堂さん。
こんなに嬉しいって気持ちが溢れているのは久しぶりなんだ。
それほどに君達とサッカーできる事が嬉しいんだ。
「さあ名前も見つかった事だし……試合をするわよ」
「え?試合??」
「ええ。相手は___」
「僕だよ、円堂さん」
瞳子姉さんの言葉に続くようにそう言えば、周りからまた叫び声が響いた。
***
「ならチーム分けしないとな!人数は少なくなっちまうけど……」
「その必要はないよ」
円堂さんがチーム分けを始めようとしたので止める。
「僕、君達雷門と一度戦ってみたかったんだ。だから僕VS雷門でどう?」
「まさかお前、1人で10人相手にする気か!?」
「そうだけど?」
「問題ある?」と鬼道さんに問いかける。
「大ありだ!!嘗めてんのかお前!!」
「なら僕から1点奪って見せてよ?染岡さん」
突っかかってきた染岡さんにそう伝え、ベンチに向かう。
上に来ていたパーカーをその場で脱ごうとすると春奈が慌てて駆け寄ってきた。
「ちょっと名前!貴女女子なんだから堂々と此処で着替えないで!?」
「大丈夫だよ、中に着てるから」
「ほら、」とパーカーをちらっとめくると、そこから水色の生地が覗いた。
証明は完了したのでその場でパーカーを脱ぎ、水色の半袖シャツとなる。下に着用している中袖のアンダーウェアが半袖からチラリと見えている。
春奈は納得のいかない表情で僕を見つめていた。
「運動するときは動きやすい服装でないと!そうじゃなきゃ実力の半分もでないでしょ?」
「ねー、円堂さーん!」と後ろを振り返ると、顔を逸らした雷門イレブンがそこにいた。
……流石にこんな場所で裸になるわけないじゃん。考えたら分かるでしょ。
「あ、そうそう。僕、秋葉名戸との試合では実力の半分も出してないから。___楽しませてね?」
そう不敵に笑うと、円堂さんが好戦的な表情で僕を見た。
2021/02/22
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