参戦! 光のストライカー

side.音無春奈



「まさか苗字一人と戦う事になるとはな」

「ちっ!!気に入らねェ」

「染岡っ」

「1点奪ってあの生意気な口を黙らせてやる……!」


染岡先輩はかなり名前にイラついているらしい。
あれだけ人を煽るのは止めなさいって言ったのに……!


「監督、何かアドバイスはありませんか?」


風丸先輩が監督にそう尋ねた。
監督は顎に手を当て、考えている素振りを見せる。


「そうね。言えるとすれば、あの子は『光』よ」

「光?」


監督はそれだけ言って名前の元へと歩いて行った。
視界の端には器用にボールを扱っている名前がそこにいた。


「光……そうか!」

「何か分かったのか、鬼道」

「恐らく監督が言いたいのは苗字の“スピード”だ」

「スピード?」

「ああ。彼奴がサッカーをしていた頃の映像を見たことがあるんだが……やはり、光と言われるだけあってかなりのスピードを持っている。前に世宇子中との決勝試合前の合宿で苗字は走り込みを日課としていると言っていた。それを含めて考えると___速さは風丸を上回る可能性が高い」


名前が風丸先輩を上回る?
お兄ちゃんの言葉に私は勿論、周りからも息を呑む声が聞こえた。
でも何よりも驚いているのはきっと、名前を挙げられた風丸先輩だと思う。


「そういえば体力テストの時、苗字さん陸上部の男子よりも速い記録を取ってたって聞いたでヤンス!」

「何?! それ本当か!?」

「もうぶっちぎりの一位だったでヤンス!」


何それ初耳!!
陸上部に勧誘されてたって事は知ってたけど……!


「ねぇまだー?」

「俺達まだ準備出来てないんだ。もう少し待ってくれないか?」

「最高の試合を約束してくれるなら、もう少し待ってあげる」


まーた上から目線な事を……。
しかし円堂さんはそんなことを気にすることなく返事し、みんなにアップの指示を出していた。

ベンチに戻ってきた名前に近寄り、話しかける。


「名前、本当に1人で10人を相手するの?」

「春奈までそんなこと言うの?心配しなくても余裕だって」


名前は相当自信があるようだ。
……何故か名前が急に遠い人に見えてしまった。





2021/02/22


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