対 千羽山中



会場から上がる声に段々イライラしてくる。
……選手じゃないから目を通していないんだろう、『大会規定』を。
雷門中の監督不在事件があってから、僕は大会に出る側の人間でもないのに大会規定に目を通した。読んでいくうちに段々飽きてきたけど、ちゃんと全部見ましたとも。

実況の人も言っているけど、鬼道さんが雷門中に加わる事は反則ではない。

大会規定第64条第2項
プレイヤーは試合前に転入手続きを完了していれば、大会中のチームの移籍は可能

……という事である。
実況もそう言っているんだから、いい加減ブーイングやめて欲しいんだけど。


「頑張って、鬼道さん」


暫くして試合が開始した。
……が、雷門はパスが全然通っていない。


「……何だ?急に下手くそになったのか?」


まあでも、鬼道さんがそのうち直してしてくれるでしょ。
天才ゲームメイカーなんでしょ?この現状も彼ならすぐに分かるはず。
そう思いながら壁山が必殺技でボールを防いだ所を見る。
恐らくボールを味方の所へと跳ね返したつもりだったようだが、相手に取られてしまった。


「お、光系統の必殺技だ」


一応“光のストライカー”と呼ばれているからね。光系統の必殺技は興味を引かれる。
さて、円堂さんは止められるかな〜?


「……え、あの光で目が眩んじゃうのー?勘弁してよ、円堂さーん」


1-0
千羽山中が先取点を取った。
あんな光で目が眩んじゃうようなら、僕の“光”は止められないよ?

雷門中のキックオフで試合再開
そろそろ試合が始まって10分が経つなぁ。
そう思ってフィールドを見ていると、


「お、繋がりだした」


パスが繋がりだしたのだ。……鬼道さん効果かな。
ボールは染岡さんに渡り、“ドラゴンクラッシュ”を放った。
が、千羽山中のGKの必殺技により塞がれてしまった。


「おぉ、10分で雷門の動きを修正してみせたか」


天才ゲームメイカーさんは、別のチームの人間でも簡単に操ってみせるか。
そういえば、雷門には司令塔がいなかったな。……これは、大きい戦力を手に入れたんじゃない、雷門?

試合再開
鬼道さんが機能している影響なのか、雷門はやっと本調子になった。
一度、相手のディフェンス技にかかったが、鬼道さんがボールを奪い返し、前線の染岡さんと豪炎寺さんに繋がった。
二人の“ドラゴントルネード”が、千羽山中の必殺技により簡単に止められてしまった。


「……あれが、“無限の壁”」


三人の連携技である必殺技、“無限の壁”。
ある程度雷門の対戦相手の事を知ろうと最近思い始め、調べるようにした。……今までは興味がなかったので調べなかっただけだ。
“ドラゴントルネード”が止められた瞬間、前半戦終了のホイッスルが鳴り響いた。


「さあ、この試合をどうゲームメイクする?鬼道さん?」


ベンチへ戻っていく鬼道さんを僕はジッと見つめた。





2021/02/21


prev next

戻る














×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -