ボーダーの顔になる
念願のランク戦に参加できる権限を獲得したのは良いが、連携がきちんと出来るがが不安だったので、まずは嵐山隊の戦闘員の方のポジションを知る事から始めた。
「えっと、嵐山さんと時枝君はオールラウンダーで基本的には銃手用トリガーを使っている。と言う事は、中距離型って事で合ってますか?」
「ああ!」
「はい」
「佐鳥君は狙撃手だよね」
「はい!覚えてくれてたんですね!!」
「勿論」
と言う事は面と向かった攻撃はちょっと不利かもしれない。間合いに入られてしまえばそこで終わってしまう。
「苗字についても色々教えてくれるか?」
「はい、勿論です」
自分が純粋なアタッカーである事、現在は公平に教えて貰った射手用トリガーの使い方を自分なりに使えるように練習中だと言う事、『強化視覚』の副作用を持っている事と出来る事を話す。
「偶に太刀川さんと模擬戦やってますよね」
「うん。あの人はよく誘ってくれるから、一番やってる人かも」
「オレもよく見かけますよ。その度身体が震え上がります……でも、そんな人が自分のチームメイトだって考えるとすごく頼りになります!!」
「は、ハードル上げないで佐鳥君……」
「ははっ、そんなに自分を追い込むな。でも、苗字が加わる事で戦法が増えるのは確かだ」
アタッカーの役割はやはり先陣切って敵を討ちにいくイメージが強い。これも兄さんの影響なんだけどさ。
「もう少ししたらランク戦が始まる。苗字は団体のランク戦は始めてだから、まずは場の空気になれてもらうのが一番だと思う」
「そうですね。模擬戦は一対一ですから、1つの空間に何人もいる状況には正直慣れてないです」
慣れていないだけで経験はある。これでも人型近界民との交戦したことはあるし。感覚的にはそれに近いのかなぁ。
「今度俺達と当たる隊は強くも弱くもない……そんな隊だ。とりあえず苗字が思うようにやってみてくれないか?」
「分かりました」
団体ランク戦のルールはさっき教えて貰った。
えっと、敵の部隊の隊員を倒した場合プラス1点。トリオン漏出過多で緊急脱出した人はもっとも多くダメージを与えた人に点が入る。また、時間内に決着が着き、生存者がいる隊には更にプラス2点。ただし時間切れの場合は点は入らない。
これは狙撃手がよくやるらしいんだけど、任意の緊急脱出は半径60m内に敵の隊員がいない場合可能。これは私覚えて置いた方が良いかもな。私の副作用が活きる気がする。
とりあえずは戦闘面に関しては理解した。あとステージ選択とかそういうのは分からないので嵐山さん達に任せる。
「そういえば個人ランク戦でも団体ランク戦でも対戦の様子は録画されているんですよね?苗字先輩が嵐山隊に入った事、既にボーダー内で知れ渡ってますし、対策されるかもしれませんよ?」
「そうだね。……でも、そういうのって真っ正面から受けてみたいんだよね。私に対してどんな対策を練ったのかって」
「わあ〜、出水先輩から聞いてた通り苗字先輩も根っからの戦闘バカですね〜」
「えっ。……そ、そうかな」
そうだと嬉しいな。……だって、戦闘好きって事は兄さんと一緒だって事にならない?そう思うのは私だけかな、なんて。
2021/03/04
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