強さ比べ
side.緋色
「柚宇!いるならいるって言ってよ」
『ごめんごめん。ゲームしてた』
相変わらず柚宇はゲーム好きだなぁ……。まあ私も彼女のお陰ですっかりゲーム好きになっちゃったけど。しかも系統まで一緒。
「名前さんと柚宇さんが知り合い……」
「同い年の時点で気がつかなかった?」
「全く気がつきませんでした!!」
別に隠すつもりはなかったけれど、柚宇との関係を話した所で中断していたものを再開する。
「じゃあいきますよ!アステロイド!」
公平の手に現れたのは2つのキューブだ、それも結構大きい。
柚宇が出した仮想近界民に向かって公平は何分割にもしたキューブを放った。
公平が放った弾は一つ一つの威力が高く、近界民はあっけなく倒れた。
「す、すごい……あれが基本の弾なの?」
「はい!」
「私、アステロイドだけで満足しちゃった……」
「もしかして結構派手なのが好きだったりします?」
「あ、バレた?」
兄さんの戦っている姿を見ていた影響なのか、派手な戦いには惹かれるのだ。それに加え、柚宇からゲームを教わってしまった為、その派手好きは加速している。
「なら、先輩はメテオラが好きかもしれないっすね!」
「本当?」
「はい! 柚宇さん、お願いします」
『はいは〜い』
再び目の前に現れた仮想近界民。
公平の両手には先程と変わらないキューブが現れ、何分割にも分かれた弾が仮想近界民へと向かって行った。
……なんの代わりもないように見えるけど……。そう思っていた時だ。
「!?」
仮想近界民に弾が当たった瞬間、さっきのアステロイドと違って爆発したのだ。
「どうっすか?」
「すごい……!すごいすごい!」
すごいとしか言葉がでない。語彙力が低下しちゃった……。でもそれしか出てこないんだもの!
「私、この2つ入れる!」
「え、まだ2つ残ってますよ?」
「あ、そうだった……」
メテオラを見て満足してしまったが、まだ弾の種類は残っていたんだった……。
引き続き公平からハウンドとバイパーを見せて貰ったのだが、ハウンドを使うくらいなら自分で動いて不意打ち、引きつけ役になればいいし、バイパーは軌道操作が難しいらしい。公平は平然と扱ってたけど。
「所で先輩。“合成弾”ってのもあるんですけど、興味あります?」
「うーん、とりあえずは自分で使って実践してみたいなぁ」
S級だからあまり知られてないけど、勿論ノーマルトリガーだって使っている。というより防衛任務の時はこっちを使っている。
で、そのノーマルトリガーにセットしているものなのだが、メインサブ両方に弧月、オプションの旋空、そしてバックワームとシールドでメインに1つだけフリーがあるという感じだ。……しかし、正直にいうと旋空は全く使っていない。そもそも私は兄さんのお陰で忍田さん以上の接近型だ。
だから、旋空の所にアステロイドとメテオラ入れようかな。あ、でも公平みたいに両手で出して放つ感じやりたいし、メインサブ両方にアステロイドいれて、空いてるメインにメテオラを入れようかな。
『名前や名前。合成弾知りたいって出水くんに言ってみ?』
「? うん」
何故かションボリしている公平に、柚宇に言われた通りにしてみる。
「ね、ねぇ公平?やっぱり合成弾教えてくれない?」
「! 勿論です!!」
わあ、すぐに元気になった。しかもすっごく笑顔。
「実はその合成弾、おれが発見したんすよ!!」
だから嬉しそうなのか……。ニコニコとした公平を見て苦笑いを浮べてしまった。
2021/03/01
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