強さ比べ
side.緋色
「先輩はこれからどうするんです?」
「出水君を探しにいくよ」
「一緒に探します」
イケメンで紳士と来た。もうこれは絶対誰か女の子を落としてるな。経験者だ絶対。
……と、そんな事考えてる場合じゃない。彼の厚意をありがたく受け取りたい所だが、私には簡単に公平を探す手段がある。
「……! いた」
「?」
副作用を使えば、人捜しなんて楽なのだ!辺りを見渡しあらゆる壁を透過した先に公平と佐鳥君を発見した。どうやら食堂にいるらしい。
「いた、って……?」
「あ、あぁごめん。いつもの癖で副作用で人捜ししてたんだ」
「先輩、副作用持ちなんですね。あのトリオン能力だと納得です」
「あはは……」
場所は分かってので大丈夫だと断ったのだが、奈良坂君は折れてくれず結局食堂まで付き合ってくれた。
「ありがとう奈良坂君。またね」
「はい」
奈良坂君を見送った後、食堂で雑談をしていると思う公平と佐鳥君に近付く。
「あっ、名前さん!やっと来た〜って、やべ。もうこんな時間か……」
「防衛任務か何かが入ってた?」
「いや、先輩の帰りが遅くなっちゃうから……」
「それなら大丈夫。私本部に住んでるから、時間気にしなくていいんだ」
「先輩、本部に住んでるんですね〜。今度部屋に遊びに行きたいです!」
「おい佐鳥。女の人の部屋に行きたいとか、ましてや名前さんの部屋に行きたいとか……!」
「大丈夫だよ。どこにでもあるごく普通の部屋だから、見られても特に気にしないよ」
少し会話をした後、佐鳥君は帰っていった。公平が無理矢理帰らせていたように見えたのは気のせい気のせい……。
でも機会があればまたお話したいな。会話してて楽しかったし。
***
「じゃあまずはこれから。先輩が初めて見たのはこのアステロイドっていう基本の弾っすね。他にも『バイパー』っていう変化弾と『ハウンド』っていう誘導・追尾弾、『メテオラ』っていう炸裂弾があります」
「ほえー」
「実際にやってみせますね!」
現在、太刀川隊隊室
どうやら隊室にはそれぞれトレーニングルームがあるらしい。……さすがに私個人の為に部屋にトレーニングルーム付けてくれって言えないかぁ……。そもそも言える度胸がない。
公平は私に弾の種類を教えて貰った後、実際にやると言って前に出た。
「柚宇さーん。お願いしまーす」
「ゆ、柚宇!?」
突然友達の名前が呼ばれ、びっくりしてしまった。
「え?先輩、柚宇さんの事知ってるんですか?」
「知ってるも何も」
『私と名前は固い友情で結ばれている仲なのだ〜』
私の言葉を遮るように柚宇の声が部屋に響いた。
2021/03/01
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