変幻自在な殺し屋、現る

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「ちょっとガキ共!!ナマエ…じゃなかった。レオンが来るって本当!?」


ガラガラッと乱暴にドアを開けて入ってきたのは、E組の外国語講師である『イリーナ・イェラビッチ』である。
突然現れた彼女に教室内にいた生徒達はビクッと反応する。


「うん、予定では今日来るってメールが」

「なんで教えてくれないのよ!!」

「知ってると思って……。ほら、ビッチ先生レオンと知り合いなんでしょー?」


イリーナの問いかけに答えたのは、入り口付近の席に座っていた女子生徒『倉橋 日菜乃』だ。
倉橋はイリーナにメールが来ていたことを教える為、自身の携帯の画面を見せる。


「ほんとだ……。何よ、レオンったら来ること私に教えてくれれば良いのに。連絡先消してないんだから」

「向こうが切ってたりして」


珍しく遅刻せずに登校してきた赤羽が、イリーナの背後でニヤリと笑いながらそう言い放った。
言われた本人のイリーナはショックで固まってしまった。


「ビッチ先生、レオンの事知ってるんだよね?何か知ってる?」

「私どんな姿してるのか気になるー!全身マントで隠れて分からないよー」


イリーナに近づいて来たのは潮田と茅野だ。
2人が口にした言葉は、この教室にいるものほとんどが気になっている事だ。

人は見た目で判断する。
だからこそ、シロと同じように全身を覆い隠されてしまってはイメージが湧かないのだ。


「体格はシロより小さいよね。でも身長は高めかも」

「そうなの?なんでカルマ君知ってるの?」

「実は前に二人っきりで会ったことがあってさ〜」


……間違いではないが、正確には赤羽がE組を観察していたレオンを発見し、一方的に話しかけていただけである。


「レオンは男なのか?女なのか?」

「初めて見た時はシロそっくりの声だったよね」

「そっくりと言うか、俺には本物にしか聞こえなかった……」

「女声はちょー美声だったよな〜!あの声は絶対おっぱいでか」


レオンの性別について話していたのは『磯貝 悠馬』と『片岡 メグ』だ。
女声に反応したのは『岡島 大河』だ。
……彼の言葉は最後まで続かなかった。何故なら、片岡が殴ったからである。


「殺し屋なんだろ?律とイトナとは違う、ビッチ先生と同じプロの殺し屋……!」

「鷹岡先生が烏間先生に襲いかかろうとしたときに投げたナイフ……。的確だったよね」

「あ、あと……気配が薄くて……いた事に気づきませんでした……!」


レオンの殺し屋としての実力について話しているのは『杉野 友人』、『神崎 有希子』、
『奥田 愛美』だ。
クラスが殺し屋『レオン』の話題で溢れかえっていると、ガラガラッとドアが開く。


「おはようございます」


そこにいたのは3年E組の担任である超生物だ。生徒達には『殺せんせー』と呼ばれている。
殺せんせーに続き、入ってきたのは烏間だ。


「聞いていると思うが、今日は転入生がいる。……全員知っているだろうが、転入生は殺し屋『レオン』だ」


烏間の言葉に緊張感がクラスに充満する。
恐らく廊下にいるのだろうレオンの存在に色んな意味で興味という視線が注がれる。
各々が指定された自分の席に座り、その時を今か今かと待っていた。



……のだが、いつまで経ってもドアが開かれる事が無い。
これはどういう事なのだろうか。


「実はまだ登校していないようなん___」

「やだなぁ。だーれも気付いてくれないの?」


烏間の声を遮るように聞こえた声。
この声はE組生徒と殺せんせーは最近聞いたばかりで耳馴染みある声だ。


「僕、一番に登校してたんだけど」


その声の主はにいた。





2021/01/04


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